カール・セイガン『COSMOS』Cosmos, 1980

●朝日新聞出版(朝日選書)(上下巻) 2013

天文学、惑星科学への夢を語り、今日の宇宙科学ブームのさきがけとなったベストセラーの復刊。 上巻では、セーガン博士が初期から取り組み続けた太陽系惑星の探求がつづられる。 探査衛星などから送られる観測データをもとにした、金星、火星、木星、土星といった惑星の物語は圧巻。 「なぜ地球には生命が存在したのか」を追った宇宙と生命の問題は、最大の関心事として現在の地球外生命の可能性の研究にまで受け継がれていく。 宇宙飛行士・山崎直子さんの書き下ろしエッセイも収録。

●朝日新聞社(上下巻) 1980

金子隆一『新世紀未来科学』

●八幡書店 2001

新世紀を迎えた現在―― 最先端科学、そして予想される未来科学のテクノロジーは、20世紀のSF文学によってすべて語り尽くされていると言っても過言ではない。 本書は、SFという人類の文化的資産を再検証、それらに登場する科学技術をジャンル別に通観し、未来科学の展望を語るものである。 併せて、実際の最先端科学がどこまでSFに追いついているのか、という疑問にも答える。 SF(空想科学)と科学の境界線が曖昧な現在、誰もが待ち望んだ書である。

スティーヴン・W・ホーキング『ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで』A Brief History of Time, 1988

●林一訳 ハヤカワ文庫NF 1995

この宇宙はどうやって生まれ、どんな構造をもっているのか。 この人類の根源的な問いに正面から挑んだのが「アインシュタインの再来」ホーキングである。 難病と闘い、不自由な生活を送りながら遙かな時空へと思念をはせる、現代神話の語り部としての「車椅子の天才」。 限りない宇宙の神秘と、それさえ解き明かす人間理性の営為に全世界の読者が驚嘆した本書は、今や宇宙について語る人間すべてにとって必読の一冊である。

的川泰宣 『月をめざした二人の科学者―アポロとスプートニクの軌跡』

●中公新書 2000

宇宙開発競争をくりひろげた冷戦期の米ソは、それぞれ稀有な才能を擁していた。 ソ連には、粛清で強制収容所に送られながら、後に共産党中央委員会を「恫喝」して世界初の人工衛星スプートニクを打ち上げたコロリョフ。 アメリカには、「ナチスのミサイル開発者」と白眼視されながらも、アポロ計画を成功に導いたフォン・ブラウン。 遠く離れた地にありながら、同じように少年の日の夢を追い、宇宙をめざした二人の軌跡。

石川良輔『昆虫の誕生―一千万種への進化と分化』

●中公新書 1996

四億年前、エビやカニと共通の祖先から分かれて上陸した昆虫の祖先は、体節を機能別に特殊化させながら進化を遂げてきた。 翅の獲得と発達は移動能力を飛躍的に増大して棲息環境の選択を可能にし、一方、多様な食物を求めて口器の構造を変化させた。 今や地上至る所に分布し、一千万種を超えるといわれる。 本書は固有の形態を完成させた現生昆虫のすべての目をその系統関係から見渡そうとする試みである。 カラー口絵、精細図版付載。

サイモン・シン『暗号解読』The Code Book, 1999

●青木薫訳 新潮文庫(上下巻) 2007

文字を入れ換える。 表を使う。 古代ギリシャの昔から、人は秘密を守るため暗号を考案してはそれを破ってきた。 密書を解読され処刑された女王。 莫大な宝をいまも守る謎の暗号文。 鉄仮面の正体を記した文書の解読秘話……。 カエサル暗号から未来の量子暗号に到る暗号の進化史を、『フェルマーの最終定理』の著者が豊富なエピソードとともに描き出す。 知的興奮に満ちた、天才たちのドラマ。

スティーヴン・ジェイ・グールド『ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語』Wonderful life: the Burgess Shale and the nature of history, 1989

●渡辺政隆訳 ハヤカワ文庫NF 2000

1909年、カナダで5億年前の不思議な化石小動物群が発見された。 当初、節足動物と思われたその奇妙奇天烈、妙ちくりんな生きものたちはしかし、既存の分類体系のどこにも収まらず、しかもわれわれが抱く生物進化観に全面的な見直しを迫るものだった…… 100点以上の珍しい図版を駆使して化石発見と解釈にまつわる緊迫のドラマを再現し、歴史の偶発性と生命の素晴らしさを謳いあげる、進化生物学の旗手グールドの代表作。