福井晴敏『テアトル東向島アカデミー賞』
●集英社文庫 2007
「テアトル東向島アカデミー賞」それは著者の脳内で毎年行われる妄想映画祭。
受賞作は血をかきたてる爆発アクション、スペクタクルが中心で、使用された火薬量とアドレナリン分泌量が評価の重要基準となる。
世の女性たちよ、この孤独な男の魂の叫びを聞け。
あなたの彼氏もホントはこんな映画が大好きなのだ!
なにげに渾身、人気作家が綴る怒涛の映画日記。
美川べるの描き下ろしツッコミマンガ付き。
21世紀初頭(祭は2005年)の日本のアクション小説界を代表するヒットメーカー・福井晴敏氏をもってきて、数多ある超大作を差し置いてこのエッセイをチョイスです。
怒られそう。
この「オススメ本100冊」の選定基準は、第一に原則「1作家1作品」。
結局、アガサ・クリスティは1枠作って例外扱いにしちゃったけど。
第二の選定基準は「自分が感動した作品、そしてこの感動を他の人にも分け与えるべく、ある時はさりげなく、ある時は無理矢理にでもオススメする作品」であること。
福井晴敏作品群の迫力は僕の心臓を揺さぶり、その浪花節は涙腺を刺激します。
されど、長い。
あまりにも、分厚く、冊数が多い。
友人・知人の財布の中身まで気にかけなければならないこのご時世では、気軽に薦められないのです。
そこで、この『テアトル東向島アカデミー賞』。
内容は文句なく面白い。
そんなに分厚くない。
財布の心配も不要。
しかし、どうも絶版になったっぽい(笑)
氏の映画観をもって、その著作の内容(使用される火薬量とアドレナリン分泌量)も推して知るべし。
好みが合うなら、自己責任と自己負担で“全○巻”の世界に突入していただければよろし。
購入予算が氏の著作ではなく、この本で紹介された映画のDVDに向かっても、それは僕の責任ではありません。
それにしても、氏と僕の、映画観の共鳴度の強さはどうしたものか。
勇気づけられるやら、困惑するやら...。
片山裕『sedパズルブック』
●インプレス 1993
sedはもともとプログラマ向けに作られたツールですが、文書の整形に便利なため、最近ではプログラマに限らずコンピュータで文書を作成する一般の人にも人気のあるツールとなっています。
しかし、sedを思い通りに利用するには、コマンドの動きはもちろん、文書のパターンを見抜くセンスが必要です。
本書は解説書形式でsedを理解していくのではなく、多数の問題を解くことでsedになじみ、sedを使いこなすセンスを習得できるようになっています。
またこれらたくさんの問題をヒントにして自分のやりたい事例に応用できます。
この本と出会えたからこそ、今の僕があるといっても過言ではありません。
で、僕にこの本を薦められて人生が変わった編集者も多いはずです(いい方に……たぶん)。
sedというテキスト処理ツールと正規表現に関する、初心者向けの教科書としては今のところベストだと思います。
こんないい本が品切れになっているというのは非常にもったいないと思います。
と学会(編)『トンデモ本の世界』
●宝島社文庫 1999
トンデモ本とはなにか?
UFO、超科学、超古代史、大予言、ユダヤの陰謀……
著者は「衝撃の真実!」のつもりだが、はたから見れば大笑いのトンデモない本のことである!
ハルマゲドンを笑い飛ばした痛快無比のベストセラーが文庫になった。
『エジプト神話集成』
●杉勇・屋形禎亮訳 ちくま学芸文庫 2016
古代エジプトは紀元前3000年頃に統一王朝が誕生したと言われる。
ファラオ(王)たちが永遠の命を求め、神々への賛辞を謳う一方で、庶民のある者は労働の苦労や恋心を歌にし、またある者は官吏になることを目指してさまざまな教訓を学んだ。
ピラミッドに刻まれた碑文やパピルスは、太古の言葉を今に伝える重要な資料である。
本書は「ホルスとセトの争い」、「メンフィスの神学」など有名な神話に加え、「ピラミッド・テキスト」、神々への讃歌、処世訓などを原典から直接訳出して収録。
後世の神話や文学にも絶大な影響を及ぼした作品がここに蘇る。
両角良彦『東方の夢―ボナパルト、エジプトへ征く』
●朝日選書(新版) 1992
ナポレオンの最も華麗な戦いであったエジプト遠征を、雄大な構想で描く歴史ノンフィクション。
1798年5月、弱冠29歳の青年将軍ボナパルトが、3万3千の大兵力を率いて地中海へと乗り出した。
革命騒ぎのあと、異例な速さで昇進を果たした英雄が、唯一抱いた憧憬「東方の夢」とは、何であったのか。
生頼範義『神話―THE BEAUTIES IN MYTHS』
●復刊ドットコム 2017
『スター・ウォーズ』『ゴジラ』『復活の日』『ウルフガイ』『幻魔大戦』『信長の野望』などジャンルを超越してダイナミックな絵を発表し続けたTHE ILLUSTRATOR
――2015年に79歳で永眠した巨匠が、神話・歴史・伝説・物語から材を取り、選び抜いて描いた91人の美しき女たちの肖像。
1988年刊行の幻の画集を、生前に加筆されていた原画をもとに再構成!!
●徳間書店 1988
ハワード・カーター『ツタンカーメン発掘記』The Tomb of Tutankhamun
●酒井伝六・熊田亨訳 ちくま学芸文庫 2001
いにしえの王たちとともに、うずもれた歴史が眠る王家の谷。
イギリス貴族カーナーヴォンと、エジプト考古学者カーターは、1914年、この谷の発掘許可を得た。
そして苦闘の末22年に王墓を発見、カーターは25年にとうとうツタンカーメン王その人のミイラと対面する。
黄金のマスクなどの数多の秘宝と「呪い」の伝説に彩られた発掘の報は世界に衝撃を与え、エジプト考古学は新しい時代の幕を開けた。
本書は、カーター自らがこの世紀の発見のすべてを綴った全記録である。
上巻には第1部・王墓発見と、第2部・黄金の棺にたどり着くまでの記録を収める。
「カーナーヴォン伯爵伝」を初収録。
尾崎俊介『紙表紙の誘惑―アメリカン・ペーパーバック・ラビリンス』
●研究社 2002
それはフラナリー・オコナーの小説の表紙絵から始まった。
宗教的なテーマを扱った『賢い血』のペーパーバック版になぜ通俗的な表紙絵が使われたのか。
ペーパーバックの出版史をたどりつつ、その経緯を調べるうち、著者はアメリカン・ペーパーバックの魔界の虜になってしまう。
数多くの表紙絵を紹介しながら、ペーパーバックにまつわる様々な物語を紡ぎ出した好エッセイ。
畠山けんじ・久保雅一『ポケモン・ストーリー』
●角川文庫(上下巻) 2002
ゲームソフトを作ったのはだれか?
どのようにして作られたのか?
アニメーション化はなぜ、どのように行われたのか?
ピカチュウはどこからやってきたのか?
子どもたちに受け入れられたのはなぜか?
キャラクターの商品化はどのようにして行われているのか?
ライセンスはどのように管理されているのか?
――世界51カ国7000億円にのぼる超巨大市場を生み出した「ポケモン」のすべてを明かすビジネス・ストーリーブック。