Casino Royale, 1953

●『007 カジノ・ロワイヤル』白石朗訳 創元推理文庫(新訳版) 2019

 イギリスが誇る秘密情報部で、ある常識はずれの計画がもちあがった。 ソ連の重要なスパイで、フランス共産党系労組の大物ル・シッフルを打倒せよ。 彼は党の資金を使いこみ、高額のギャンブルで一挙に挽回しようとしていた。 それを阻止し破滅させるために送りこまれたのは、冷酷な殺人をも厭わない007のコードをもつ男――ジェームズ・ボンド。 007初登場作を新訳でリニューアル!

●『007/カジノ・ロワイヤル』井上一夫訳 創元推理文庫(新版) 2006

●『カジノ・ロワイヤル ―秘密情報部007号』井上一夫訳 創元推理文庫 1963


007 カジノロワイヤルCasino Royale, 1967

監督:ジョン・ヒューストンほか、脚本:ウォルフ・マンキウィッツほか、撮影:ジャック・ヒルデヤード
出演:ピーター・セラーズ、デヴィッド・ニーヴン、デボラ・カー、ウィリアム・ホールデン、ウディ・アレン、ウルスラ・アンドレス、ジョン・ヒューストン、シャルル・ボワイエ、オーソン・ウェルズ、ジャン=ポール・ベルモンド


 ショーン・コネリー主演の本家シリーズとの正面衝突を避け、姑息にも(笑)全編パロディで仕立ててしまった。 原作小説が華麗かつハードボイルドな仕上がりでとてもいい作品なだけに、
何故そのまま映画化しなかったのか
と、とても悔やまれる作品である。

 が、パロディに逃げると決めたらそこから先は徹底していて、そのドタバタ加減と不条理さは、 シリーズ8作目。 「ダイヤモンドは永遠に」でのショーン・コネリーは“さすがに老けたなぁ”というのが正直な感想。 本作で3代目ボンドとしてロジャー・ムーアが登場し、ジュームズ・ボンドも若返り…… げっ、ロジャー・ムーアの方が年上だ (ロジャー・ムーア:1927年生まれ、ショーン・コネリー:1930年生まれ)。 “スマート”になった点は評価できるけどね。 音楽はいいけど、ストーリーとしてはちと盛り上がりに欠ける。どこまでがギャグでどこからが演出不足なのかさえわからない
ほどのドタバタぶり。 さらにオールスター・キャストで逃げの一手も独走状態。 本家シリーズより「オースティン・パワーズ」と見比べたほうがよい。


007 カジノ・ロワイヤルCasino Royale, 2006

監督:マーティン・キャンベル、脚本:ポール・ハギスほか、撮影:フィル・メヒュー、主題歌:クリス・コーネル
出演:ダニエル・クレイグ、エバ・グリーン、マッツ・ミケルセン、ジェフリー・ライト、ジャンカルロ・ジャンニーニ、ジュディ・デンチ、イェスパー・クリステンセン


 そう、そう、これが観たかったのよ!、と思わず劇場で膝を打ちました。 ダニエル・クレイグも芳しくなかった前評判を思いっきりねじ伏せましたね。 とは言え、本作はジェームズ・ボンドが、真に“ジェームズ・ボンド”になるまでのお話。 真の評価は2作目で与えられることでしょう。

 007映画の“三種の神器”、「スコープで狙われたボンドが撃ち返すオープニング」(“ガンバレル”と呼ぶのだそうです)、「ジェームズ・ボンドのテーマ」(モンティ・ノーマン作曲)、「自己紹介時のセリフ“The Name is Bond, James Bond”」(“My Name is Bond, James Bond”の場合もあり)の使い方というか持ち出し方も、大変、それはもう、効果的。 いろいろ逆手に取られて、不覚にも涙してしまいました。 ただの気の利いた演出ではなく、007シリーズにずーっと慣れ親しんできたファンへの、毎回作品の完成を心待ちにし、やきもきしてきたファンへのプレゼントだったと思います。 主題歌はクリス・コーネル。

Live and Let Die, 1954

●『007 死ぬのは奴らだ』井上一夫訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1998

ボンドの今回の標的は、全米の暗黒街を牛耳る男ミスター・ビッグ ――彼はジャマイカから大量の古代金貨を盗み出し、世界の金相場を狂わせようと企んでいた。 Mの指令を受けたボンドはニューヨークへ飛び、旧友のCIA局員ライターとともに調査を開始した。 だがやがて、敵の罠に陥ったライターは瀕死の重傷を負い、ボンドも絶体絶命の窮地に! 鮮烈なヒーロー、ジェイムズ・ボンドの名を確立した初期の傑作。


 映画版の007シリーズを観ていて、やたらとサメに襲われるシーンが多いなと思っていた。 スタッフがきっとサメが好きなんだろう、と(笑)。 ところが、である。

◆映画「サンダーボール作戦」で敵のアジトのプールにサメ。海中でもサメに襲われる。
 ⇒小説版『サンダーボール作戦』から

◆映画「死ぬのは奴らだ」:敵のアジトにサメを呼び込む水路が。
 ⇒小説版『死ぬのは奴らだ』から

◆映画「ユア・アイズ・オンリー」:サメのいる海を縛られて引きずられる。
 ⇒これも小説版『死ぬのは奴らだ』からのエピソード

◆映画「消されたライセンス」:ボンドの友人、CIAのフィリックスがサメにやられて重傷。
 ⇒これまた小説版『死ぬのは奴らだ』からのエピソード

◆映画「ネバーセイ・ネバーアゲイン」:ダイビングしてたらサメに襲われる。
 ⇒「サンダーボール作戦」のリメイクだし。

……と、意外に元ネタは集約されていたことが判明。 ある意味、この『死ぬのは奴らだ』には映画3本分のエッセンスが詰まっているともいえる。 面白かった。


007 死ぬのは奴らだLive and Let Die, 1973

監督:ガイ・ハミルトン、脚本:トム・マンキウィッツ、撮影:テッド・ムーア 出演:ロジャー・ムーア、ヤフェット・コットー、ジェーン・シーモア、バーナード・リー


 シリーズ8作目。 前作「ダイヤモンドは永遠に」でのショーン・コネリーは“さすがに老けたなぁ”というのが正直な感想。 本作で3代目ボンドとしてロジャー・ムーアが登場し、ジュームズ・ボンドも若返り……
げっ、ロジャー・ムーアの方が年上だ
(ロジャー・ムーア:1927年生まれ、ショーン・コネリー:1930年生まれ)。 “スマート”になった点は評価できるけどね。 音楽はいいけど、ストーリーとしてはちと盛り上がりに欠ける。 主題歌はポール・マッカートニー&ウイングス。

Moonraker, 1955

●『007 ムーンレイカー』井上一夫訳 創元推理文庫 1964

ドーヴァーの岸にあるムーンレイカー基地では、億万長者ヒューゴ卿が国家に寄付する超大型原爆ロケットの製作が進行していた。 そこへ前任者が謎の死をとげたため、保安係として特派されたのはおなじみ007、ジェームズ・ボンドである。 彼が発見したムーンレイカーの秘密、それは大英帝国を震駭させる国際的な大陰謀だった。


 スペースシャトル“ムーンレイカー号”を駆って宇宙で大活躍の映画版とは違って、原作は“ムーンレイカー”はミサイルロケットで、舞台もイギリス南部のミサイル発射基地に限定されている。 はっきり言おう、原作の方が面白い。 ボンドと女性捜査官の駆け引きが面白いし、最後の別れのシーンもなかなか渋い。


007 ムーンレイカーMoonraker, 1979

監督:ルイス・ギルバート、脚本:クリストファー・ウッド、撮影:ジャン・トゥルニエ
出演:ロジャー・ムーア、ロイス・チャイルズ、マイケル・ロンズデール、コリンヌ・クレリー、リチャード・キール、バーナード・リー、デスモンド・リュウェリン


 シリーズ11作目。 終盤ではついにジェームズ・ボンドも宇宙に飛び出してしまい、あまりのハチャメチャぶりに現時点での評価は高くないけど、公開当時はシリーズ最大のヒットとなったわけで、映画興行としては成功した作品。 今見ても、宇宙に飛び出すまでのアクションは十分に面白い(破格の予算と手間をかけてるし)。

 今さら大陸間弾道ロケットを“最新兵器”と呼ぶわけにもいかず、ロケットをスペースシャトルと宇宙ステーションに置き換えた上で、ストーリーとしては何と前作「私を愛したスパイ」の焼き直し。

 M役のバーナード・リーは最後の登場。 主題歌はシャーリー・バッシー(3度目)。

Diamonds Are Forever, 1956

●『007 ダイヤモンドは永遠に』井上一夫訳 創元推理文庫 1960

アフリカのダイヤモンド鉱山から巨額のダイヤが密輸されている。 事件は、イギリス海外秘密情報部の手に移り、密輸の元締めはアメリカ最大の組織的ギャング団と判明した。 007、快男子ジェームズ・ボンドは、密輸ルートの一員に化けて潜入する……! 新しいスパイ・スリラーの第一人者となった、イアン・フレミングの会心作。


 密輸グループ側の女性に近づきながら、その過去の心の傷を知り、「情報は得たいが、その心までは利用したくない」と苦悩するボンドの姿がかっこいい。


007 ダイヤモンドは永遠にDiamonds Are Forever, 1971

監督:ガイ・ハミルトン、脚本:トム・マンキウィッツ、リチャード・メイボーム、撮影:テッド・ムーア
出演:ショーン・コネリー、ジル・セント・ジョン、チャールズ・グレイ、ラナ・ウッド、バーナード・リー、デスモンド・リュウェリン


 シリーズ7作目。 ショーン・コネリーが復帰したのはいいけど、さすがに老けた。 スマートでなくなってるのも減点ポイント。 前半は原作通りに進行するけど、後半は完全に『ゴールドフィンガー』の二番煎じ。 ただし、原作にないタイトルをもじったエンディングは気が利いててニヤリとさせられる。 主題歌はシャーリー・バッシー(2度目)。

From Russia, With Love, 1957

●『007 ロシアから愛をこめて』井上一夫訳 創元推理文庫 2008

ソ連情報部は、このところの失策続きをなんとか挽回しようとしていた。 そこで槍玉に挙げられたのが、英国秘密情報部の腕利きスパイ、007ことジェームズ・ボンドだった。 陰謀の舞台は、トルコのイスタンブール。 ソ連情報部の美女との、豪華なオリエント急行での逃避行。 二重三重に仕かけられた罠に、さしものジェームズ・ボンドも次第に搦めとられていく。 シリーズ最高峰の傑作。

●『ロシアから愛をこめて ―秘密情報部007号』井上一夫訳 創元推理文庫 1964


007/危機一発」「007 ロシアより愛をこめてFrom Russia with Love, 1963

監督:テレンス・ヤング、脚本:リチャード・メイボーム、撮影:テッド・ムーア、音楽:ジョン・バリー
出演:ショーン・コネリー、ダニエラ・ビアンキ、ロバート・ショウ、ペドロ・アルメンダリス、ロッテ・レーニャ、バーナード・リー、デスモンド・リュウェリン


 シリーズ2作目。 シリーズ中最高傑作といわれる作品である。 ……といってもストーリーはいたってシンプル。 ジェームズ・ボンドがソ連の暗号解読器を入手しに出かけたけど、それはスペクターの罠だった、というだけ。 最近の地球を2~3周しそうな“世界を股にかけた”活躍と比べると、イスタンブールに飛んで、オリエント急行でザグレブまで戻って、ボートでベニスにたどり着く、と移動距離もそれほどではない。 でも、殺人許可証を持つ“殺し屋”的なイメージが強かった前作に比べると、秘密兵器を駆使した“諜報員”というイメージがこの作品で確立されているのは確か。 それに敵も味方もより個性的になって、それがすべて“ジェームズ・ボンドを中心に”動いているという設定がより強固になった。 主題歌はマット・モンロー。かっこいい。

※原作は「ロシアから愛をこめて」、映画は「ロシアより愛をこめて」です。

Doctor No, 1958

●『007 ドクター・ノオ』井上一夫訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1978

英国情報部カリブ海域地区の責任者は、本部に定期連絡を取るべくジャマイカの住宅街を歩いていた。 彼が三人組の男のそばを通りすぎたとき、突如三挺の消音銃が火を噴いた。 数分後、今度は支局内で悲鳴が…… 事態を探るためボンドはカリブ海の孤島に飛ぶが、そこは恐るべき陰謀を企む怪人ノオ博士の根城だった!

 傑作である。 他のフレミング本もそうだが、この本は特に、ジェームズ・ボンドはショーン・コネリーに限る、ということを実感させてくれる。 作中でのボンドの何気ない振る舞いもコネリーを思い浮かべながらだとサマになる。 敵との戦いのシーンも(若き頃の)コネリーのアクションだし、女性との洒落た会話だって声は若山弦蔵だ。

 クライマックスは派手な大爆発で締めくくる映画版と違って、
機関車ほどもある巨大イカとの1対1の対決だ。
このシーンも映画化するとしたら、コネリーでしか想像できない(笑)。


007は殺しの番号」「007 ドクター・ノオDr.No, 1962

監督:テレンス・ヤング、脚本:リチャード・メイボームほか、撮影:テッド・ムーア、音楽:モンティ・ノーマン
出演:ショーン・コネリー、ウルスラ・アンドレス、ジョセフ・ワイズマン、バーナード・リー


 シリーズ1作目にして、ショーン・コネリーが“ボンド・スタイル”を確立してしまった作品。 まだ特殊なスパイ・アイテムも出てこないし、乗り物を使ったアクションもまだまだ地味だけど、その分、ジェームズ・ボンド(コネリー)の存在感が強い。 ほとんど無抵抗の敵を殺してしまうシーンが衝撃的で、“殺しの許可証”を持つ非情のスパイとしてのリアリティがあって良い。

Goldfinger, 1959

●『007 ゴールドフィンガー』井上一夫訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1998

英国情報部員ジェームズ・ボンドは、オーリック・ゴールドフィンガーと名乗る謎の男と出会い、男がカードでいかさまを働くのを見破った。 が、黄金を異常に愛するこの男の正体とは、巨大な犯罪組織を牛耳る怪物だったのだ! スパイ小説史上もっとも有名なヒーローが、華麗な活躍を見せる永遠の名シリーズ代表作


007 ゴールドフィンガーGoldfinger, 1964

監督:ガイ・ハミルトン、脚本:リチャード・メイボームほか、撮影:テッド・ムーア
出演:ショーン・コネリー、ゲルト・フレーベ、オナー・ブラックマン、シャーリー・イートン、ハロルド坂田、バーナード・リー、デスモンド・リュウェリン


 シリーズ3作目。 今回ボンドが相対するのは、為替相場安定のため合衆国が保有している金塊を“放射能で汚染”させて、自分が保有する金の相場を10倍につりあげようとする陰謀である。 金塊を強奪するのではなくて、放射能汚染で使用不能にする、というアイデアは秀逸。 「ドクター・ノオ」で
核燃料の制御冷却水のすぐ上で戦っていた
のとはえらい違いだ。

 ボンド・カー=アストン・マーチンや各種秘密兵器もじゃんじゃん出てきて、いい意味でもそうでない意味でも007映画らしくなってきた。 シャーリー・バッシーの主題歌はディラン効果抜群で、一週間は耳に残る。

For Your Eyes Only, 1960

●『007 薔薇と拳銃』井上一夫訳 創元推理文庫 2007

英国秘密情報部の腕利き、007ことジェームズ・ボンド。 祖国の平和と安寧のため、世界を股にかけ危険な任務を遂行する。 パリ郊外の森に隠れ潜むソ連の情報機関を破壊する「薔薇と拳銃」、ジャマイカで荘園主夫妻を殺害したナチの残党を暗殺する「読後焼却すべし」、水の都ベニスで麻薬密輸ルートを追う「危険」ほか、「珍魚ヒルデブランド」「ナッソーの夜」の、短編5編を収録。


From a View to a Kill「薔薇と拳銃」
For Your Eyes Only「読後焼却すべし」
Quantum of Solace「ナッソーの夜」
Risico「危険」
The Hildebrand Rarity「珍魚ヒルデブラント」


 短篇であれば短篇の書き方があるように思うが、長篇でのボンドの活躍をワンシーンだけ切り取ったような内容で、単純に小説として評価するなら面白みに欠けると言わざるを得ない。 映画をひと通り観た後で、それぞれのエピソードがどの映画でどのようにアレンジされたかを確認しながら読む分には、なかなか楽しめる。


007 美しき獲物たちA View to a Kill, 1985

監督:ジョン・グレン、脚本:リチャード・メイボームほか、撮影:アラン・ヒューム
出演:ロジャー・ムーア、クリストファー・ウォーケン、タニア・ロバーツ、グレイス・ジョーンズ、デスモンド・リュウェリン


 シリーズ14作目にして、ロジャー・ムーア最後の作品。 さすがに年とったのをごまかすのは限界のようで(この時58歳)、スタントシーンの吹き替えが致命的なほどにバレバレなのがちょっと哀しい。 それでもロジャー・ムーアがいたからこそ、007映画は20作に連なるシリーズとなり得たのだといえる。

 ストーリーの方は、思いっきり「ゴールドフィンガー」の焼き直し。 だけどクリストファー・ウォーケンの“危なさ”加減が絶品である。 主題歌はデュラン・デュラン。


007 ユア・アイズ・オンリーFor Your Eyes Only, 1981

監督:ジョン・グレン、脚本:リチャード・メイボームほか、撮影:アラン・ヒューム
出演:ロジャー・ムーア、キャロル・ブーケ、ジュリアン・グローヴァー、トポル、リン=ホリー・ジョンソン、デスモンド・リュウェリン


 シリーズ12作目。 シリーズの原点回帰を意識した作品である。 巷で言われるように「前作のハチャメチャぶりを反省して」というわけではなく、前作の興行的成功を肯定しながらも「シリーズ全体の流れとバランスを考慮」して、このような方針になったようだ。 ジェームズ・ボンドは基本的に自らの体力と機転で困難に立ち向かうことになる(前作で大活躍したボンドカーが使う前に爆発してしまうシーンは象徴的)。 よって、スタントマン大活躍の体当たりアクションの連続となり、見どころは多い。

 オープニングシーンは「女王陛下の007」で殺された妻の敵討ち。 契約の関係で途中から“スペクター”や“ブロフェルド”が使えなくなっていたので消化不良のままだったで、ああスッキリした。

 主題歌はシーナ・イーストン。オープニング・タイトルにも登場。


007 慰めの報酬Quantum of Solace, 2008

監督:マーク・フォースター、脚本:ポール・ハギスほか、撮影:ロベルト・シェイファー
出演:ダニエル・クレイグ、オルガ・キュリレンコ、マチュー・アマルリック、ジャンカルロ・ジャンニーニ


 ボンドは女性を口説かないし、事前情報のあったマチュピチュのシーンはないし、そのせいかずいぶんと尺が短いし(106分)、消化不良・欲求不満。 前作「カジノ・ロワイヤル」と1本にまとめてしかるべき内容だな、と思う。 ただ、前作のあのラストがどうしてもやりたかったのね、と理解もできる。

主題歌はアリシア・キーズとジャック・ホワイト。

Thunderball, 1961

●『007 サンダーボール作戦』井上一夫訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1998

核爆弾を搭載したNATOの爆撃機が、突如連絡を絶った。 その直後、英国首相のもとに核爆弾と引き換えに一億ポンドの金塊を要求する謎の脅迫状が…… 特命を受けてバハマに急行したボンドと、悪の首魁ブロフェルド率いる世界最強の犯罪組織スペクターとの壮絶な闘い! 冒険活劇の醍醐味あふれるシリーズ第三弾


007 サンダーボール作戦Thunderball, 1965

監督:テレンス・ヤング、脚本:リチャード・メイボームほか、撮影:テッド・ムーア
出演:ショーン・コネリー、クローディーヌ・オージェ、アドルフォ・チェリ、ルチアナ・パルッツィ、マルティーヌ・ベズウィック、バーナード・リー、デスモンド・リュウェリン


 シリーズ4作目。 登場する“秘密兵器”はどんどん大掛かりになってきてるけど、スピード感あふれる展開の中で、その荒唐無稽さもピタリと要所要所にハマっている。 全編の25%に及ぶ水中シーンは“すばらしい”の一言だし、ラストの水中バトルはまさに圧巻。 シリーズ中でも最高のアクション大作といっていいだろう。 主題歌はトム・ジョーンズ。

 本作の原案について権利関係の問題が生じ、007シリーズの製作を手掛けているイオン・プロは『サンダーボール作戦』の映画化権を保持できなかった。 その後さらに揉めて「スペクター」と「ブロフェルド」の使用権も消失。 21世紀に入ってからの和解交渉を経て、2013年に関連権利購入、2015年にやっと「007 スペクター」が製作された。


ネバーセイ・ネバーアゲインNever Say Never Again, 1983

監督:アーヴィン・カーシュナー、脚本:ロレンツォ・センプル・Jr.、撮影:ダグラス・スローカム
出演:ショーン・コネリー、キム・ベイシンガー、クラウス・マリア・ブランダウアー、バーバラ・カレラ、マックス・フォン・シドー


 (当時)イオン・プロは「カジノ・ロワイヤル」と「サンダーボール作戦」2本の映画化権を持ってない(1965年の「サンダーボール」も権利保持者との合作である)。 よってこの作品は本家シリーズに連ならない番外編となる。 拳銃を模した007のロゴが使えない、スコープでボンドを狙って返り討ちにあうオープニングも使えない、とハンデが多い中、逆転ホームランを狙ってショーン・コネリーの起用に成功した作品である。 コネリーにとっては、自らが35歳の時に主演した「サンダーボール作戦」のリメイクとなる。 コネリーもこの時点ですでに53歳なんだけど、いや、これがまたカッコいい。 「ダイヤモンドは永遠に」の時に“老けたなあ”と思ったけど(当時41歳)、この作品では風格さえ感じさせる落ち着きと渋さ。 水着の女性が飛び込んできて、「ごめんなさい、スーツを濡らしてしまったわ」
「なぁに、マティーニはドライのままさ」
このセリフがロジャー・ムーアに言えるか?(絶対に広川太一郎の声で茶化す) ピアース・プロズナンで様になるか?(キザすぎて嫌味で身もだえ) やっぱり、ここはコネリー=ボンドでしょう。

 設定自体も気が利いている。 さすがに一線で活躍するには年も取ったし、経費は使う、モノは壊す、と新任“M”から疎んじられて、ボンドはデスクワークに追いやられている、という設定。 で、「健康管理でもしなさい」と人間ドッグ入りを命じられ、その病院で……というところから先は「サンダーボール作戦」と同じ。 後は例によって例のごとく大活躍で、「やっぱり007じゃないと」ということになり、最後にコネリーが「ネバーアゲイン」と言っておしまい。 いたるところでニヤリとさせられる、コネリーの年齢を逆手にとったナイスな脚本で、番外編と割り切れば十分に楽しめる娯楽作品だと思う。

 唯一の難点は音楽(主題歌はいい)。 ボンドがタキシード着て(笑)バイク・チェイスするシーンなんて、もっと音楽で盛り上げてほしいところなんだけど。 でもタンゴ踊るシーンがカッコいいから許す。 “M”がエドワード・フォックス、ブロフェルドがマックス・フォン・シドー、と配役も豪華。 ラルゴ役のクラウス・マリア・ブランダウアーもいい。 あと英国大使館員役でローワン・アトキンソンが出てる。

The Spy Who Loved Me, 1962

●『007 わたしを愛したスパイ』井上一夫訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1998

今度はわたしが男に牙をむく番だ――そんな決意を秘め、ヴィヴィエンヌはアメリカへ渡った。 イギリスでの生活と、彼女を弄んで捨てた男たちから逃げだして。 が、ここでも男たちの魔手が彼女を襲った。 二人組のギャングが、彼女が独りでいたホテルに押し入ってきたのだ。 彼女の窮地を救ったのは、ジェイムズ・ボンドと名乗る謎の男だった……。 女性の視点からボンド像に光を当て、強烈なスリルとエロティシズムで綴る異色作。


007 私を愛したスパイThe Spy who Loved Me, 1977

監督:ルイス・ギルバート、脚本:クリストファー・ウッド、リチャード・メイボーム、撮影:クロード・ルノワール
出演:ロジャー・ムーア、バーバラ・バック、クルト・ユルゲンス、リチャード・キール、バーナード・リー、デスモンド・リュウェリン


 シリーズ10作目。 ムーア=ボンド・シリーズの最高傑作でもある。 シリーズ10作目という節目でもあり、既存作品の総決算的な要素と後続作品の原点的な要素がぎっしり詰め込まれている。 コネリー=ボンドの“渋み”は捨てがたい魅力であることは間違いないんだけど、「007シリーズってどんな映画?」と聞かれれば、この映画を見せた方が話が早い。 オープニングでの断崖絶壁からのスキー滑降、潜水艇にもなるロータス・エスプリや原潜3隻を呑み込むタンカーのセット、海中から現れる秘密基地など見どころは多いし、それぞれ派手だ。 個人的にはエジプトが舞台になっているのも高ポイント(ただ、アブシンベル神殿の前を歩いて→デル=エル=メディーナを通り過ぎ→デンデラ=ハトホル神殿の階段を下って、MI6の秘密出張所にたどり着くというのは距離的にまず無理)。 原作者がタイトルの使用しか許可していないので、ストーリー自体は「007は二度死ぬ」を焼き直した完全オリジナル。 主題歌はカーリー・サイモン。

※原作は「わたしを愛したスパイ」、映画は「を愛したスパイ」です。

On Her Majesty's Secret Service, 1963

●『女王陛下の007』井上一夫訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1999

窮地を救い、ボンドが一夜を共にした女性――彼女はマフィアの首領カピューの娘だった。 彼に惚れこんだカピューは、ボンドの宿敵ブロフェルドがスイスにいる事実を突きとめてくれた。 ブロフェルドは伯爵をかたり、なぜか若い女性だけを集めて山中に潜んでいるらしい。 ボンドは准男爵に化け、敵の本拠地へ乗り込む! アルプスに展開する壮絶な追跡行。 ボンドの人生に華麗かつ残酷な歴史が刻まれる注目の一作。 改訳決定版。


 結婚を決意してからのボンドの変わりようが楽しいが、最後に悲劇が待ち構えているだけに、読んでいて辛い。


女王陛下の007On Her Majesty's Secret Service, 1969

監督:ピーター・ハント、脚本:リチャード・メイボームほか、撮影:マイケル・リード
出演:ジョージ・レーゼンビー、ダイアナ・リグ、テリー・サヴァラス、ガブリエル・フェルゼッティ、バーナード・リー、デスモンド・リュウェリン


 シリーズ6作目。 ショーン・コネリーの降板を受けて、ジョージ・レーゼンビーが登場。 前半は多少とまどうものの(それだけコネリー=ボンドの印象は強い)、後半の氷上のカーレース、スキーでの脱出行(なんと片足スキー!)、ヘリコプターでの秘密基地急襲、ボブスレーでの追跡劇、とたたみかけるようなアクションの連続には興奮させられる。 終盤のマネー・ペニーの表情にもぐっとくるものがあるし、ラストのボンドのセリフもいい。 アクション映画として評価するなら、シリーズの中でもトップクラスに入る出来だと思う。 ジョージ・レーゼンビーもそれほど悪くないと思うが、切ないラストシーンだけはコネリーの演技で見てみたかった、というのも正直なところ。 ルイ・アームストロングによる挿入歌「愛はすべてを越えて」は泣ける。

You Only Live Twice, 1964

●『007は二度死ぬ』井上一夫訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 2000

愛妻を殺され、傷心のボンドをMは日本へ送りこんだ。 万能暗号解読機を入手するため、そして使い物にならず、解雇寸前のボンドに最後のチャンスを与えるためでもあった。 彼を迎えたのはタイガー田中と名乗る男だった。 男は解読機を渡す代わりに、福岡で毒草を栽培する危険な植物学者の殺害を命じる。 ボンドは条件を呑んだ。 だが、その学者の写真を見た彼は……! ボンドの眼を借りた日本観が横溢する注目作。 改訳決定版。


 前作『女王陛下の007』で愛妻をブロフェルドに殺され、傷心どころか、すっかり人格破綻してしまったボンドの任務復帰の物語である。 ……が、展開自体はあまり印象に残らない。 全編通して語られる
エキゾチック・ジャパン
な展開が、もう微に入り細に入り、いろんな意味ですばらしい。 何せ冒頭20ページを費やして、ボンドと日本のエージェント“タイガー田中”(映画では丹波哲郎が演じた)の二人の間で繰り広げられるのは
“ジャンケン”対決
である。 一応、ゲイシャ遊びを教えている、というシチュエーションではあるのだけれど。

 切なさを感じさせるラストシーンは、次作『黄金の銃を持つ男』の衝撃的なオープニングにつながっていく。 そのオープニング・エピソードは映画「黄金銃を持つ男」では使用されず、「ダイ・アナザー・デイ」で使われた。


007は二度死ぬYou Only Live Twice, 1966

監督:ルイス・ギルバート、脚本:ロアルド・ダール、撮影:フレディ・ヤング
出演:ショーン・コネリー、若林映子、浜美枝、丹波哲郎、ドナルド・プレザンス、バーナード・リー、デスモンド・リュウェリン


 シリーズ5作目。なんと脚本がロアルド・ダールである。 だからかどうかは知らないが、これまで“ド派手”“大掛かり”ではあるけれども“正統派”アクション映画だったものが、“奇想天外”路線にシフトしてしまった。 この方向転換が後に「オースティン・パワーズ」を生むことになる。 でも、ディープなファンにはたまらないんだろうな。 僕はもうちょっとリアル路線が好きなんだけど。 でもトヨタ200GTはカッコいい。

 さすがにコネリー=ボンドはくたびれてきた。 コネリーはこの作品でシリーズ降板を宣言。 主題歌はナンシー・シナトラ。とても印象深い曲。

The Man with the Golden Gun, 1965

●『007 黄金の銃をもつ男』井上一夫訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 2000

任務中に行方不明となり、死亡したと伝えられていたボンドが突然帰国した。 報告を受けるMをボンドの銃が襲った。 失踪中に洗脳されたらしい。 ボンドの復帰を願うMは、再洗脳後“黄金の銃をもつ男”として恐れられる殺し屋スカラマンガの暗殺を命じた。 この男こそ、西側の情報部員を次々と亡き者にしてきた宿敵なのだ。 ボンドは身分を隠して敵の本拠地キューバに乗り込んでいく! 永遠の名シリーズの掉尾を飾る迫力篇。


 “M”とボンドの強い信頼関係が印象深い。 ジェームズ・ボンドが長期間に渡って囚われの身になり、復帰後、失地回復のためキューバに向かう、というシチュエーションは「ダイ・アナザー・デイ」に使われている。


007 黄金銃を持つ男The Man with the Golden Gun, 1974

監督:ガイ・ハミルトン、脚本:トム・マンキウィッツ、リチャード・メイボーム、撮影:テッド・ムーア、オズワルド・モリス
出演:ロジャー・ムーア、クリストファー・リー、モード・アダムス、ブリット・エクランド、バーナード・リー、デスモンド・リュウェリン


 シリーズ9作目。 ロジャー・ムーアとしては2作目だが、アクションやスタントに小技は効いているものの、やっぱり今ひとつ盛り上がらない。 敵役スカラマンガの個性をもっと強調してもいいような気もする(ちなみにクリストファー・リーはイアン・フレミングの従兄弟だそうな)。 少なくとも“太陽エネルギー装置”をめぐる陰謀の下りは、とってつけたようで余計だ。 原作のハードボイルドな味が全然生きてない。 ユーモラスな演出が増えてて、実際面白いんだけど、これはスリリングな展開の中で生きてくるものであって、やはり個性的な適役と巨大な陰謀、そしてしっかりした脚本が大事だと思う。 主題歌はルル。

※原作は「黄金銃をもつ男」、映画は「黄金銃を持つ男」です。

Octopussy and the Living Daylights, 1966

●『オクトパシー』井上一夫訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1983

退役少佐スマイスは、南国ジャマイカで昔の悪事をもとに築いた悠々自適の生活を送っていた。 その悪事とは――大戦後雑件処理に携わった彼は、偶然、ナチスが山奥に隠した金の延べ棒のありかを知った。 そして、一人のドイツ人に案内させ、金を手に入れると殺してしまった。 ところが、この男こそ親代わりとしてボンドを育て上げた人物だったのだ。 戦時犯罪の摘発という任務のもとに、ボンドはスマイスとの対決に臨んだ…… 表題作他ボンドが、ソ連スパイ狙撃、敵資金源の壊滅に活躍する二篇を収めた著者最後の作品集


Octopussy「オクトパシー」
The Living Daylights「ベルリン脱出」
○The Property of a Lady「所有者はある女性」


 「ベルリン脱出」(The Living Daylights)が収録されているため、映画「リビング・デイライツ」公開時には表紙もタイアップ版に差し替えられたけど ……当時原作本だと思ってこの本買った人は驚いただろうな。
映画の最初の数分で原作のすべてが終了。
そう、映画版の最初のチェロ奏者狙撃部分のみの短編なのである。 映画ではその後、天然ガスのパイプラインを使った国境線突破、ハリアーを使った亡命者移送までやって、やっとオープニングシーンが終了。 さらに本編に入ってからの、イギリス→チェコ→オーストリア→北アフリカ→アフガニスタンという大冒険はすべてオリジナル。


007 オクトパシーOctopussy, 1983

監督:ジョン・グレン、脚本:リチャード・メイボームほか、撮影:アラン・ヒューム
出演:ロジャー・ムーア、モード・アダムス、ルイ・ジュールダン、クリスティナ・ウェイボーン、スティーヴン・バーコフ、デスモンド・リュウェリン


 シリーズ13作目。 各所でアクション・スタント主体にがんばっているんだけど、“「オクトパシー」といえばあのシーン”というインパクトのある場面がないのが残念なところ。 原作短篇「オクトパシー」からの借用はタイトルだけで、「所有者はある女性」から一部エピソードを借りているものの、他はほとんどオリジナル。 主題歌はリタ・クーリッジ。


007 リビング・デイライツThe Living Daylights, 1987

監督:ジョン・グレン、脚本:リチャード・メイボームほか、撮影:アレック・ミルズ
出演:ティモシー・ダルトン、マリアム・ダボ、ジェローン・クラッベ、ジョー・ドン・ベイカー、デスモンド・リュウェリン


 シリーズ15作目。 シリーズ中ではあまり評判が芳しくないようだけど、僕はティモシー・ダルトンのボンドが好きだ。 原作のボンドの人間臭さにこだわった演技力はずば抜けている。 遊園地で仲間が殺された直後のティモシーの眼の演技に注目すべし。 ショーン・コネリーなら冷酷に眉間に皺を寄せるだけだし、ロジャー・ムーアなら“あちゃー”って顔して終わりだ(たぶん)。 ダルトンは仲間の死に、驚き、戸惑い、怒りを爆発させる。 このクローズアップのワンシーンはすごい迫力。 それまで、落ち着いた身のこなしやアクションシーンで表現されていたボンド像に“感情”を注入することに成功したのがダルトンだと思う。

 もちろん映画全体としての出来もいいと思ってる。 ボンドが立ち向かう“陰謀”のビジョンもしっかりしているし、アクションだ、秘密兵器だ、謀略だ、ロマンスだ、と各種要素のバランスもいい。 主題歌はa-ha。

※ダルトンはショーン・コネリーの後に一度ボンド役に誘われているが、“若すぎる”という理由で断っている(25歳の時)。 これも原作のボンドの30代後半という設定(を前提にした人格形成・熟練度といった重み)にこだわったからだろう。 ロジャー・ムーアの後はピアース・ブロズナンに一旦決まったのだが、契約の関係で撮影に間に合わず、急遽代役の白羽が立ったという経緯がある。 ある意味、満を持して、というところだろう。

その他の007映画

007 消されたライセンスLicence To Kill, 1989

監督:ジョン・グレン、脚本:マイケル・G・ウィルソン、リチャード・メイボーム、撮影:アレック・ミルズ
出演:ティモシー・ダルトン、キャリー・ローウェル、ロバート・ダヴィ、タリサ・ソト、ベニチオ・デル・トロ、デスモンド・リュウェリン


 シリーズ16作目。 前作「リビング・デイライツ」はダルトン=ボンドの“お披露目”だったのでいろんな要素が詰め込まれていたのだが(それはそれで面白い)、本作ではボンドの“行動”をより中心に据えていて、ストーリーの密度が高い。 後半、敵の内部に懐疑の種をまきながら組織に入り込んでいくという展開はまさに黒澤の「用心棒」で、“殺しの許可証”を剥奪され単身で敵に立ち向かうという設定での緊迫感がとてもいい。 ティモシー・ダルトンのボンドが2作で終わってしまったのはホントに残念。 主題歌はグラディス・ナイト。


007 ゴールデンアイGoldenEye, 1995

監督:マーティン・キャンベル、脚本:ジェフリー・ケイン、ブルース・フィアスティン、撮影:フィル・メヒュー
出演:ピアース・ブロスナン、ショーン・ビーン、イザベラ・スコルプコ、ファムケ・ヤンセン、ジュディ・デンチ、デスモンド・リュウェリン


 シリーズ17作目。 ピアース・ブロスナンが登場。 最後の決戦の場は、出るべくして出てきたアレシボ電波観測所。 直径300メートルの固定球面鏡に水を満たして湖に偽装するというのは面白いアイデアだ。 悪女役のファムケ・ヤンセンが最高。 主題歌はティナ・ターナー。


007 トゥモロー・ネバー・ダイTomorrow Never Dies, 1998

監督:ロジャー・スポティスウッド、脚本:ブルース・フィアスティン、撮影:ロバート・エルスウィット
出演:ピアース・ブロスナン、ジョナサン・プライス、ミシェール・ヨー、テリー・ハッチャー、ジュディ・デンチ、デスモンド・リュウェリン


 シリーズ18作目。 手錠で繋がれてのバイクの二人乗りスタントが面白い。 スタントシーン自体はどんどん派手になってくるけど、ワンアイディアあたりのアクションシーンがそれぞれ長くなりすぎていて、2時間に詰め込むアイディア自体は数を減らしているような気がする。 主題歌はシェリル・クロウ。


007 ワールド・イズ・ノット・イナフThe World Is Not Enough, 2000

監督:マイケル・アプテッド、脚本:ニール・パーヴィスほか、撮影:エイドリアン・ビドル
出演:ピアース・ブロスナン、ソフィー・マルソー、ロバート・カーライル、デニース・リチャーズ、ジュディ・デンチ、デスモンド・リュウェリン


 シリーズ19作目。 狙いはわかる。 ソフィー・マルソーを引っ張ってきた理由もわかる。 なのに、脚本がしょーもなくて(もしかしたら編集かも)、ああ、もったいない。 今回の敵役テロリストの脳内に弾丸が残っていて、痛みも含むすべての感覚を喪失している、という設定も面白い。 だからこそ、である。ああ、やっぱりもったいない。

 007シリーズに限らず、テロ系・謀略系の映画の悪役は常に冷酷非情である。 目的のために、愛人も部下も見殺しにして当たり前の人間がほとんどだ。 でもこの作品ではそれとは異なる方向性を垣間見せてくれた(ネタバレじゃない…と思う)。 男は自分の死を覚悟して愛する女に“王国”を残そうとする。 女も決して自分の野望のために男を利用しているのではない。 銃を突きつけられてもなお、二人の計画を完遂する意志を捨てない。 結局は許されざるテロリズムに過ぎないんだけど、このシリーズ中最も強固な犯罪意図が何に起因するのか、何が二人の信頼関係をここまで強くしたのか、劇中確かに説明はしてるんだけど、まだまだ掘り下げることができたはず。 お約束のスキー・アクションの場面は思いっきり不要だ。 このシーンを削ってでも、二人の関係をもっと深く描くべきだったと思う。 主題歌はガービッジ。


007 ダイ・アナザー・デイDie Another Day, 2003

監督:リー・タマホリ、脚本:ニール・パーヴィスほか、撮影:デヴィッド・タッターサル
出演:ピアース・ブロスナン、ハリー・ベリー、トビー・スティーヴンス、ロザムンド・パイク、リック・ユーン、ジュディ・デンチ


 ピアース・ブロスナン、さすがに老けてきたね。 まだ2~3作はボンドを演じると思うけど、年齢をどうボンドの個性に加えていくか。 コネリーは“渋み”だったし、ムーアは“ユーモア”だった。 いつまでも“おしゃれスパイ”は通用しないだろうから、今後のブロスナンに期待。(※本作が最後になってしまいました)

 映画としてはずいぶん派手になったけど、乗り物アクションも格闘アクションもがんばっているけど、ウリのひとつである“体当たりスタント”が印象に残らなかったのが残念。 その手の場面でずいぶんとCG合成に逃げていたけど、そういうのはハリウッドに任しとこうよ。 スタントマンの吹き替えだとわかっていても(特にロジャー・ムーア版の後半バレバレ)、危険なアクションを生身の人間が演じて、ハラハラドキドキさせるのが007映画の真骨頂だ(と思う)。 主題歌はマドンナ。


007 スカイフォールSkyfall, 2012

監督:サム・メンデス、脚本:ニール・パーヴィス他、撮影:ロジャー・ディーキンス
出演:ダニエル・クレイグ、ジュディ・デンチ、ハビエル・バルデム、レイフ・ファインズ、アルバート・フィニー


007 スペクターSpectre, 2015

監督:サム・メンデス、脚本:ジョン・ローガンほか、撮影:ホイテ・バン・ホイテマ
出演:ダニエル・クレイグ、クリストフ・ワルツ、レア・セドゥー、レイフ・ファインズ、モニカ・ベルッチ


007 ノー・タイム・トゥ・ダイNo Time to Die, 2020

監督:キャリー・フクナガ、脚本:ニール・パーヴィス他、撮影:リヌス・サンドグレン
出演:ダニエル・クレイグ、レイフ・ファインズ、ラミ・マレック、アナ・デ・アルマス、ラシャーナ・リンチ