ロバート・L・フォワード『竜の卵』

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『竜の卵』
山高昭訳 ハヤカワ文庫SF 1982
紀元前50万年,太陽系から50光年離れた星域で中性子星が誕生した。超新星爆発の恐るべきエネルギーによって,秒速30キロ,すなわち一万年に一光年というかなりな固有運動を与えられた中性子星は,一路近くの隣人,太陽系へと向かったのである……。そして2049年,探査宇宙船セントジョージ号は,<竜の卵>と名づけられたこの中性子星の周回軌道に乗り,観測を開始しようとしていた。だが,直径20キロにみたぬこの中性子星上に,まさか知的生物が存在していようとは!? 最新の科学理論を駆使して,人類と中性子星人とのファースト・コンタクトを描く,ハードSFファン待望の書!
 地球とは異なる生命進化を描くところ,それらの生命とのファースト・コンタクト(さらに未知の地球文明を神格化してしまうところ)など,J.P.ホーガンの「造物主の掟」に似ている。 「造物主の掟」が、両者の外面的な特徴が近いこともあってファースト・コンタクトがわりと容易に進んだのに対して,「竜の卵」はこれが大変。 まず生命体としての規格が違う。 中性子星人は直径5mmほどのアメーバ状なのである( ※巨大な質量をもつ恒星が超新星爆発を起こした後に生まれるのが中性子星。 直径は数10キロでも質量は太陽と同じくらいあるので途方もない重力をもつ。 小説上の設定は、表面重力670億G、地表温度8000度。 よって、5mmのアメーバ状というのが科学的に許容できる中性子星人となる)。
 そして何よりもこの作品を面白くしているのは“時間の流れ”である。 中性子星人との相対時間尺度が100万倍違うので,地球人の時間の尺度で15分が過ぎると中性子星人は世代交代してしまうのである。 この時間尺度の違いにより,中性子星人はまさに驚くべき速さで地球文明の知識を吸収し,追い越して行くこととなる。 両者の“物理的”ファースト・コンタクトは,「自らの姿を地球人に見てもらうのに,地球人の目の焦点が合うまで彼らの時間で数日間直立不動で微動だにしない」という努力を必要とするものになってしまうが、これが滑稽であると同時に感動的な場面に仕上がっている。


Biography

Bibliography

1980

Dragon's Egg

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「竜の卵」山高昭訳 ハヤカワ文庫FT 1982
紀元前50万年,太陽系から50光年離れた星域で中性子星が誕生した。超新星爆発の恐るべきエネルギーによって,秒速30キロ,すなわち一万年に一光年というかなりな固有運動を与えられた中性子星は,一路近くの隣人,太陽系へと向かったのである……。そして2049年,探査宇宙船セントジョージ号は,<竜の卵>と名づけられたこの中性子星の周回軌道に乗り,観測を開始しようとしていた。だが,直径20キロにみたぬこの中性子星上に,まさか知的生物が存在していようとは!? 最新の科学理論を駆使して,人類と中性子星人とのファースト・コンタクトを描く,ハードSFファン待望の書!
星雲賞海外長編部門(1983年)受賞
野田昌宏『SFを極めろ! この50冊』

1984

The Flight of the Dragonfly / Rocheworld

ロシュワールド (ハヤカワ文庫 SF (627))

「ロシュワールド」山高昭訳 ハヤカワ文庫SF 1985
バーナード星系を通過中の無人探測機は、そこに二重惑星を発見した。わずか80キロの間隔で互いに回転しあう二重惑星ロシュワールド――その調査のため、レーザーにより推進・滅速する恒星間宇宙船が派遣された。寿命延長剤を服用した乗員は、ざまざまな目的に使用できる画期的なロボット“クリスマスブッシュ”とともに、6光年もの虚空をわたるのだ。出発から40年後、ついにロシュワールドに到着した調査隊はアンモニア水の海中で奇妙な異星人に遭遇するが……。科学者ならではの緻密な科学考証、前作『竜の卵』をもしのぐ壮大なスケールと大胆な仮説で描く傑作ハードSF。


1985

Starquake

スタークエイク (ハヤカワ文庫 SF (713))

「スタークエイク」山高昭訳 ハヤカワ文庫SF 1987
2060年6月21日GMT06時50分06秒、中性子星〈竜の卵〉の調査を無事完了したドラゴン・スレイヤー号は、母船セント・ジョージ号に向け帰還準備を開始した。予想もしなかった中性子星の生物“チーラ”とのコンタクトに成功した彼らは、はかり知れないほどの科学知識を得たのである。だが帰還を目前にしたまさにその時、流星体が誘導ロケットのひとつを破壊し、強力な重力潮汐力から船を守っていた補償体郡が制御不能となった! 恐るべき潮汐力によって彼らが八つ裂きにされるまで、残された時間は5分しかなかった……フォワードが『竜の卵』に続いて贈る傑作ハードSF!

1988

Mirror Matter: Pioneering Antimatter Physics
Future Magic

SFはどこまで実現するか―重力波通信からブラック・ホール工学まで (ブルーバックス)

「SFはどこまで実現するか―重力波通信からブラック・ホール工学まで」久志本克己訳 講談社ブルーバックス 1989
地球のどこからでも瞬時の映像を届ける放送衛星は、数世代前の祖先にとっては、魔女の魔法の水晶球のように見えるだろう。過去・未来に通信を送るタキオン電話、物質を100パーセントすべてエネルギーに換える反物質燃料、恒性間旅行を可能にするレーザー帆船、ブラック・ホールから無限のエネルギーを取り出したり、タイム・マシンやスペース・ワープ機関として利用するブラック・ホール工学など、現在の私たちには魔法としか見えない未来の魔法の可能性と実現方法、SF作家でもある物理学者が詳細に検討する。

1991

Martian Rainbow

火星の虹 (ハヤカワ文庫SF)

「火星の虹」山高昭訳 ハヤカワ文庫SF 1992
アメリカ宇宙軍が主体となった多国籍の国連火星遠征軍は、火星各地に築かれた新生ソヴィエト連邦の基地を急襲、占領に成功した。やがて、この遠征軍を率いていた双子の兄弟オーガスタスとアレクサンダーは、苛酷きわまりない環境の火星と人類の故郷である地球でそれぞれの道を進みはじめるが……科学者作家フォワードが、最新の科学知識と理論を縦横にもちいて、火星の姿と火星植民の未来をいきいきと描きだすハードSF。

1992

Timemaster

1993

Return to Rocheworld
Marooned on Eden
Camelot 30K

1994

Ocean Under the Ice

1995

Rescued from Paradise
Indistinguishable from Magic*

1997

Saturn Rukh


Web Links

  1. オフィシャルサイト
  2. ウィキペディア
  3. Internet Speculative Fiction Database