ジェイムズ・ティプトリー・Jr.『たったひとつの冴えたやりかた』

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たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)

『たったひとつの冴えたやりかた』
池央耿訳 創元SF文庫 1987
やった!これでようやく宇宙に行ける!16歳の誕生日に両親からプレゼントされた小型スペースクーペを改造し、連邦基地のチェックもすり抜けて、そばかす娘コーティーはあこがれの星空へ飛びたった。だが冷凍睡眠から覚めた彼女を、意外な驚きが待っていた。頭の中に、イーアというエイリアンが住みついてしまったのだ!ふたりは意気投合して〈失われた植民地〉探険にのりだすが、この脳寄生体には恐ろしい秘密があった……。元気少女の愛と勇気と友情をえがいて読者をさわやかな感動にいざなう表題作ほか、星のきらめく大宇宙にくり広げられる壮大なドラマ全3篇を結集!
The Only Neat Thing to Do「たったひとつの冴えたやりかた」/Good Night,Sweethearts「グッドナイト、スイートハーツ」/Collision「衝突」
 「たったひとつの冴えたやりかた」「グッドナイト、スイートハーツ」「衝突」の3編からなるオムニバス形式。 主人公はすべて地球人だが、遠い未来、“(銀河?宇宙?)連邦草創期の人間<ヒューマン>のファクト/フィクション”を研究したいという学生(もちろん地球人ではない)のために、図書館司書(これも地球人ではない)が古い文献の中からこの3作を選び出す、という形式をとっている。 地球人の(地球人である僕らからすると“地球人らしい”)行動・考え方を、第三者(地球外種族)の目を通して客観的に提示し、それが理解と感動を得ていく、という設定が良い。 この“客観的に”という部分も徹底していて、それぞれの事件が通信記録や録音テープなどによって一旦検証され、その過程をも含めて記録されているという体裁を取っているのも面白い。 ……難しい言い回しは終了。 主人公の少女コーティーが、元気で、前向きで、勇気があって、そして最後まで健気にがんばる姿に涙するべし。
 それぞれのストーリーは、どちらかというとオーソドックスで、スペースオペラ風の舞台設定に物足りなさを覚える人がいるかもしれない。 ま、あくまでティプトリー・ジュニアの入門編ということで。 ティプトリー・ジュニアの作品で邦訳されているのは他に短編集が4冊。 男と女の“性差”を扱った衝撃的な作品が多い。 中でも『愛はさだめ、さだめは死』が、やはりティプトリー・ジュニアの真骨頂。 表題作のほか、「接続された女」「男たちの知らない女」など、読み応えがある。
 作家ティプトリー・ジュニアの人生とその“正体”も、小説に負けず衝撃的である。 各翻訳書の序文・あとがきに詳しいので、是非一読いただきたい。


Biography

Bibliography

1973

Ten Thousand Light-years from Home*

故郷から10000光年 (ハヤカワ文庫SF)

「故郷から10000光年」伊藤典夫訳 ハヤカワ文庫SF 1991
粒子加速研究所の大惨事が、地球を壊滅させ、ひとりの男を時間の乱流へと押し流した。だが男の意志は強かった。彼はおのれの足で失われた“故郷”へと歩いて帰るべく、遙かなる旅に出立したのだ――。「故郷へ歩いた男」ほか、ティプトリーの華麗なるキャリアの出発点である「セールスマンの誕生」、最高傑作と名高い「そして目覚めると、わたしはこの肌寒い丘にいた」など、全15篇を収録するSFファン待望の第一短篇集。
And I Awoke and Found Me Here on the Cold Hill's Side「そして目覚めると、わたしはこの肌寒い丘にいた」/The Snows Are Melted, the Snows Are Gone「雪はとけた、雪は消えた」/The Peacefulness of Vivyan「ヴィヴィアンの安息」/Mamma Come Home「愛しのママよ帰れ」/Help「ピューパはなんでも知っている」/Painwise「苦痛志向」/Faithful to Thee, Terra, in Our Fashion「われらなりに、テラよ、奉じるはきみだけ」/The Man Doors Said Hello to「ドアたちがあいさつする男」/The Man Who Walked Home「故郷へ歩いた男」/Forever to a Hudson Bay Blanket「ハドソン・ベイ毛布よ永遠に」/I'll Be Waiting for You When the Swimming Pool Is Empty「スイミング・プールが干上がるころ待ってるぜ」/I'm Too Big But I Love to Play「大きいけれども遊び好き」/Birth of a Salesman「セールスマンの誕生」/Mother in the Sky with Diamonds「マザー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」/Beam Us Home「ビームしておくれ、ふるさとへ」


1975

Warm Worlds And Otherwise*

愛はさだめ、さだめは死 (ハヤカワ文庫SF)

「愛はさだめ、さだめは死」伊藤典夫,浅倉久志訳 ハヤカワ文庫SF 1987
自然と本能のまえにとまどう異星生物のライフサイクルを、斬新なスタイルで描き、1973年度ネビュラ賞に輝く表題作ほか、コンピュータによって他人の肉体とつながれた女の悲劇を通して、熾烈な未来社会をかいま見せ、1974年度ヒューゴー賞を獲得したサイバーパンクSFの先駆的作品「接続された女」、ユカタン半島に不時着した飛行機の乗客が体験した意外な事件を軸に、男女の性の落差を鋭くえぐった問題作「男たちの知らない女」など、つねにアメリカSF界の話題を独占し、注目をあつめつづけたティプトリーが、現代SFの頂点をきわめた華麗なる傑作中短篇全12篇を結集!
All the Kinds of Yes「すべての種類のイエス」/The Milk of Paradise「楽園の乳」/And I Have Come upon This Place by Lost Ways「そしてわたしは失われた道をたどり、この場所を見いだした」/The Last Flight of Doctor Ain「エイン博士の最後の飛行」/Amberjack「アンバージャック」/Through a Lass Darkly「乙女に映しておぼろげに」/The Girl Who Was Plugged in「接続された女」/The Night-blooming Saurian「恐竜の鼻は夜ひらく」/The Women Men Don't See「男たちの知らない女」/Fault「断層」/Love is the Plan the Plan is Death「愛はさだめ、さだめは死」/On the Last Afternoon「最後の午後に」
野田昌宏『SFを極めろ! この50冊』


1978

Up the Walls of the World
Star Songs of an Old Primate*

cover

「老いたる霊長類の星への賛歌」友枝康子訳 サンリオSF文庫 1986
「老いたる霊長類の星への賛歌」伊藤典夫,友枝康子訳 ハヤカワ文庫SF 1989
理想の植民星を発見した探査船ケンタウルス号。だが、その唯一の帰還者で、異星生物を持ち帰った女性生物学者の報告が明かす恐るべき真実とは?……性心理を探求する「一瞬のいのちの味わい」、太陽フレアにまきこまれ、NASAとの接触を失ったサンバード号の乗務員が見た未来の地球の異様な姿を通して、ヒューゴー、ネビュラ両賞受賞の栄冠に輝く「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?」など、つねにSF界に衝撃を与えつづけたティプトリーが、現代SFの頂点をきわめた傑作中短篇7篇をここに結集!
Your Haploid Heart「汝が半数染色体の心」/And So On, And So On「エトセトラ、エトセトラ」/Her Smoke Rose Up Forever「煙は永遠にたちのぼって」/A Momentary Taste of Being「一瞬のいのちの味わい」/Houston,Houston,Do You Read?「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?」/The Psychologist Who Wouldn't Do Awful Things to Rats「ネズミに残酷なことのできない心理学者」/She Waits for All Men Born「すべてのひとふたたび生まるるを待つ」


1981

Out of the Everywhere, and Other Extraordinary Visions*

星ぼしの荒野から (ハヤカワ文庫SF)

「星ぼしの荒野から」伊藤典夫,浅倉久志訳 ハヤカワ文庫SF 1999
遙か深宇宙で進化した生命体グレックス―エンギという名の幼仔が冒険を求めて行方をくらました時、群れは大騒ぎとなった。ただちに2体の斥候が選ばれ、その跡を追った。だが怖るべき捕食生物「大食らい」もまた、その仔を狙っていたのだ。やがて未熟なエンギは、とある恒星の磁力流に捕えられ、地球という名の惑星に……感動の表題作ほか、ネビュラ賞受賞作「ラセンウジバエ解決法」など、全10篇を収録した傑作短篇集。
Angel Fix「天国の門」/Beaver Tears「ビーバーの涙」/Your Faces, O My Sister ! Your Faces Filled of Light !「おお、わが姉妹よ、光満つるその顔よ ! 」/The Screwfly Solution「ラセンウジバエ解決法」/Time-Sharring Angel「時分割の天使」/We Who Stole the Dream「われら<夢>を盗みし者」/Slow Music「スロー・ミュージック」/A Source of Innocent Merriment「汚れなき戯れ」/Out of the Everywhere「星ぼしの荒野から」/With Delicate Mad Hands「たおやかな狂える手に」


1985

Brightness Falls from the Air

輝くもの天より墜ち (ハヤカワ文庫SF)

「輝くもの天より墜ち」浅倉久志訳 ハヤカワ文庫SF 2007
翼をもつ美しい妖精のような種族が住む銀河辺境の惑星ダミエム。連邦行政官のコーリーとその夫で副行政官のキップ、医師バラムの三人は、ダミエム人を保護するため、その星に駐在していた。そこへ“殺された星”のもたらす壮麗な光を見物しようと観光客がやってくるが…オーロラのような光の到来とともに起こる思いもよらぬ事件とは?『たったひとつの冴えたやりかた』で言及されていたファン待望の物語、ついに登場。
星雲賞海外長編部門(2008年)受賞


Byte Beautiful*

1986

Tales of the Quintana Roo*

すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた (ハヤカワ文庫 FT)

「すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた」浅倉久志訳 ハヤカワ文庫FT 2004
青年はある晩、黒髪の美女が縛りつけられ、漂流しているボートを目にした。女を救出し、浜へと泳ぎ戻った青年は愕然とする。その人物は男だったのだ!盗品とおぼしき大きなルビーを腹部に隠していた男は、よく見るとやはり美しい女にも見える。その男はいったい…。「リリオスの浜に流れついたもの」をはじめ、メキシコのキンタナ・ローを舞台にした美しくも奇妙な物語3篇を収録する連作集。世界幻想文学大賞受賞。


The Starry Rift*

たったひとつの冴えたやりかた 改訳版

「たったひとつの冴えたやりかた」浅倉久志訳 ハヤカワ文庫SF 1987
「たったひとつの冴えたやりかた 改訳版」浅倉久志訳 早川書房 2008
やった!これでようやく宇宙に行ける!16歳の誕生日に両親からプレゼントされた小型スペースクーペを改造し、連邦基地のチェックもすり抜けて、そばかす娘コーティーはあこがれの星空へ飛びたった。だが冷凍睡眠から覚めた彼女を、意外な驚きが待っていた。頭の中に、イーアというエイリアンが住みついてしまったのだ!ふたりは意気投合して〈失われた植民地〉探険にのりだすが、この脳寄生体には恐ろしい秘密があった……。元気少女の愛と勇気と友情をえがいて読者をさわやかな感動にいざなう表題作ほか、星のきらめく大宇宙にくり広げられる壮大なドラマ全3篇を結集!
The Only Neat Thing to Do「たったひとつの冴えたやりかた」/Good Night,Sweethearts「グッドナイト、スイートハーツ」/Collision「衝突」

1988

Crown of Stars*

1990

Her Smoke Rose Up Forever*

1996

Neat Sheets*

2000

Meet Me at Infinity*


Web Links

  1. ウィキペディア
  2. Internet Speculative Fiction Database