小松左京『日本沈没』

My favorite 99 books

日本沈没 上 (小学館文庫 こ 11-1)

『日本沈没』小学館文庫ほか
伊豆・鳥島の東北東で一夜にして小島が海中に没した。現場調査に急行した深海潜水艇の操艇者・小野寺俊夫は、地球物理学の権威・田所博士とともに日本海溝の底で起きている深刻な異変に気づく。折から日本各地で大地震や火山の噴火が続発。日本列島に驚くべき事態が起こりつつあるという田所博士の重大な警告を受け、政府も極秘プロジェクトをスタートさせる。小野寺も姿を隠して、計画に参加するが、関東地方を未曾有の大地震が襲い、東京は壊滅状態となってしまう。全国民必読。二十一世紀にも読み継がれる400万部を記録したベストセラー小説。(上巻)
とにかくその日が来る前に。政府は日本人全員を海外へ移住させるべく、極秘裏に世界各国との交渉に入った。田所博士は週刊誌で「日本列島は沈没する」と発言して、物議をかもしていた。小野寺は極秘プロジェクトからはずれて、恋人・玲子とともにスイスに旅立とうとするが、運悪く玲子は、ついに始まった富士山の大噴火に巻き込まれ行方不明となってしまう。そして、日本沈没のその日は予想外に早くやってきた。死にゆく竜のように日本列島は最後の叫びをあげていた。日本人は最悪の危機の中で、生き残ることができるのか。未来をも予見していた問題作。(下巻)
星雲賞日本長編部門(1974)受賞
 ラストで日本列島が沈み、「第一部 完」として終わっている。 もともと“帰るべき国土を失った民族はどうなるのか”という発想の元に書き始められた小説だと聞いている。 このテーマで真っ先に思いつくのはユダヤ民族だが、現代社会において、それも1億人が、という部分がこの小説の肝だったらしい。 この舞台設定を整えるため日本を沈めなければいけないのだが、いろいろとシミュレーションした結果、これだけの地殻変動・自然災害においては“1億人も生き残れない”という結果に達し(実際に小説の中でも、早い段階で大規模な空港・港湾施設が使用できなくなって、日本人は数千万人しか脱出できない)、(本編となるべき)第二部は書かれなかった(最初の200枚程度は書いたが没にしたという噂がある)。 ※その後、谷甲州との共著で出版されました。
 小松氏が描こうとした“民族とは”というテーマにも心惹かれるが、構想として完結していないとはいえ、この第一部だけでもすごい。 科学者たちが大規模な地殻変動を予見し、それが日本沈没という最悪の事態に進展していく過程を緻密に描く“D-1”計画の部分。 政府が秘密裏に日本人1億人の脱出計画を進めていく(世界各国との難民受入交渉や資産・文化財の海外搬出など)“D-2”計画の部分。 シミュレーション小説として十分な読み応えがある。 しかし圧巻は終盤、まさに日本が沈み始めてからの部分にある。 災害の描写がすごいのではない(いや、すごいけど)。 最後まであきらめずに避難・救助活動を行う人間の闘いがすごいのである。 海外の救助隊・軍が救助活動の継続を断念する段階においても、日本人たちは、政も官も民もあきらめない。 1人でも多く、と、ある者は日本に残り、ある者はまた日本に舞い戻って、救助活動を続ける。
 空港のシーンがある。 管制官たちは連日不眠不休で避難民を乗せた飛行機を飛ばしつづけている。 そしてついに運命の時が来て、大地が大きく揺れ始める。 管制官はこの地震で空港が壊滅すると判断し、離陸体制にあった飛行機に離陸を強行させる。 離陸しようとする飛行機と祈るような気持ちでそれを見守る管制官たち。 地震の規模は徐々に大きくなっていく……。 このシーン、何度読んでも泣いてしまう。 SFとしてではなく、レスキューものとして読んだとしても、“日本人とは何か”という命題に、各人答えを見つけることができるかもしれない。
[コミック版]「日本沈没」さいとう・プロ
日本沈没 (1) 列島震撼 (SPコミックス) 日本沈没 (2) 天変地異 (SPコミックス) 日本沈没 3 (SPコミックス) 日本沈没 4 (SPコミックス)

[コミック版]「日本沈没」一色登希彦
日本沈没 1 (ビッグコミックス) 日本沈没 2 (ビッグコミックス) 日本沈没 3 (ビッグコミックス) 日本沈没 4 (ビッグコミックス) 日本沈没 5 (ビッグコミックス) 日本沈没 6 (ビッグコミックス)
日本沈没 7 (ビッグコミックス) 日本沈没 8 (ビッグコミックス) 日本沈没 9 (ビッグコミックス) 日本沈没 10 (ビッグコミックス) 日本沈没 11 (ビッグコミックス) 日本沈没 12 (ビッグコミックス)
日本沈没 13 (ビッグコミックス) 日本沈没 14 (ビッグコミックス) 日本沈没 15 (ビッグコミックス)

映画版

【東宝特撮Blu-rayセレクション】 日本沈没

「日本沈没」東宝 1973
監督:森谷司郎、脚本:橋本忍、撮影:村井博・木村大作
出演:藤岡弘、いしだあゆみ、小林桂樹、丹波哲郎


日本沈没 TELEVISION SERIES プレミアム・ハザードBOX [DVD]

(テレビドラマ版)「日本沈没」東京放送 1974
出演:村野武憲、由美かおる、小林桂樹


日本沈没 スペシャル・コレクターズ・エディション (初回限定生産) [DVD]

「日本沈没」東宝 2006
監督:樋口真嗣、脚本:成島出、加藤正人
出演:草薙剛、柴咲コウ、及川光博、豊川悦司、大地真央


関連作品

日本以外全部沈没―パニック短篇集 (角川文庫)

筒井康隆「日本以外全部沈没」角川文庫
地球規模の地殻変動で、日本を除くほとんどの陸地が海没してしまった。各国の大物政治家はあの手この手で領土をねだり、邦画出演を狙うハリウッドスターは必死で日本語を学ぶ。生き残りをかけた世界のセレブに媚びを売られ、すっかり舞い上がってしまった日本と日本人だが…。痛烈なアイロニーが我々の国家観を吹き飛ばす笑撃の表題作(登場人物解説付)ほか、新発掘短篇「黄金の家」も収録。
日本以外全部沈没 [DVD] 監督・脚本:河崎実、脚本:右田昌万
出演:小橋賢児、柏原収史、デルチャ・ミハエラ・ガブリエラ、ブレイク・クロフォード、キラ・ライチェブスカヤ、村野武範、藤岡弘、、寺田農



Bibliography

1963

地には平和を

1964

復活の日

復活の日 (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 1998
MM‐八八菌―実験では、摂氏五度で異常な増殖をみせ、感染後五時間で九十八%のハツカネズミが死滅!生物化学兵器として開発されたこの菌を搭載した小型機が冬のアルプス山中に墜落する。やがて春を迎え、爆発的な勢いで世界各地を襲い始めた菌の前に、人類はなすすべもなく滅亡する…南極に一万人たらずの人々を残して。人類滅亡の恐怖と、再生への模索という壮大なテーマを描き切る感動のドラマ。
復活の日 デジタル・リマスター版 [DVD] 「復活の日」東宝 1980
監督・脚本:深作欣二、脚本:高田宏治ほか、撮影:木村大作
出演:草刈正雄、ジョージ・ケネディ、オリヴィア・ハッセー、グレン・フォード、ロバート・ヴォーン、多岐川裕美、緒形拳、ボー・スヴェンソンほか


影が重なる時

日本アパッチ族

日本アパッチ族 (光文社文庫)

光文社文庫 1999
鉄を食べる人間が出現した!彼らはやがて大阪の街の一郭から、日本全国へとひろがっていった。彼らの名は「アパッチ」、そのムチャクチャなエネルギーで、日本国内の「鉄」を食べまくり、ついには、日本の政治や生産機構までも、ゆさぶるほどになった。日本は滅亡した。小説の未知の領域を開拓し、現代小説にも影響を与えつづける小松左京の傑作、処女長編。

1965

日本売ります

日本売ります (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 1999
かつて存在し、そしてある日忽然と地上から消え失せてしまった国「日本」―自分が“契約”さえしなければ良かったのだ、と語り出す謎の男。彼こそ日本を売ってしまった張本人だというのだ。「日本売却」の顛末をユーモアあふれる悪魔的タッチで描く表題作をはじめ、SFの奇想をたっぷり盛りこんだ、ナンセンスあり、ショートショートありの傑作全二十二篇を収録。

明日泥棒

明日泥棒 (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 2000
「コンツワ!」―─珍妙きわまるいで立ちと言葉づかいで、"ぼく"の前に突然現れたそいつの名前は、ゴエモン。その出会いの直後、日本全土からあらゆる"音"が奪われてしまった。しかし、これはゴエモンがその後、世界中を巻き込むことになる大騒動の序幕に過ぎなかったのだ......。ゴエモンとは一体、何者なのか? 破天荒な展開の中に痛烈な文明批判を織り込んだ長篇SF。

1966

エスパイ

エスパイ (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 1998
“エスパイ”―それは、人の心を読み、物体を透視し、意志の力で物体を動かす超能力を持つ者たちの諜報集団である。ソ連首相暗殺計画の阻止を命じられたエスパイの一員・田村良夫は早速行動に移るが、彼の前に現れた敵も超能力者の集団だった!ニューヨーク、バルセロナ、イスタンブール、ウィーン、遂には宇宙へと繰り広げられる国際的陰謀の首謀者・ミスター“S”の正体とは果たして何者なのか。
エスパイ [DVD] 「エスパイ」東宝 1974
監督:福田純、脚本:小川英、撮影:上田正治
出演:藤岡弘、由美かおる、草刈正雄、加山雄三、若山富三郎

果しなき流れの果に

果しなき流れの果に (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 1997
N大教授大泉とK大教授番匠谷は、高校時代の同窓。共にマッド・サイエンティストと称される夢想家である。ある日、番匠谷が大泉のもとに古墳からの奇妙な出土品を持参した。それは、永遠に砂が落ち続ける砂時計。上部と下部との間には異次元空間が?一行は再び発掘現場へ調査に赴くが、未盗掘の玄室には何もなく、羨道の先は行きどまりになっていた…。SF界の巨匠が放つ超時空小説。

ある生き物の記録

ゴエモンのニッポン日記

ゴエモンのニッポン日記 (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 2000
「ゴエモンキタルテンヨリキタル」との電報とともにあのお騒がせ宇宙人・ゴエモンが再びやって来た。一万年ぶりに日本を訪れたという彼を自宅へ居候させることとなった“僕”は、そのニッポン探訪につきあう次第とあいなったのだが…。人類の「知識」と「常識」を次々と打ちくだいてしまうゴエモンの“文明批評”の旅が始まった!痛快無比の傑作諷刺SF。

1967

神への長い道

神への長い道 (徳間文庫)

徳間文庫 1989
二十一世紀の地球。フジ・ナカハラは、精神の再生を未来に求めて、フロリダにある冷凍睡眠所で無期限の冷凍睡眠に入った。しかし、三千五百年後に海王星の衛星トリトン上のサイボーグ病院で覚醒した彼が目にしたものは、定向進化したにすぎない人類の現実だった。人類は再び旅立とうとしていた。可能性のまたたきを求め、フジは、人類は、どこへ行きつくのか…。表題作ほか、巨匠が描くハードな未来史五篇。

生きている穴

1968

飢えた宇宙

模型の時代

1969

空中都市008/アオゾラ市のものがたり

空中都市008 アオゾラ市のものがたり (講談社 青い鳥文庫fシリーズ)

講談社・青い鳥文庫 2003
空中都市008に引っ越してきた、ホシオくんとツキコちゃん。ここはいままで住んでいた街とはいろんなことがちがうみたい。アンドロイドのメイドさんがいたり、ふしぎなものがいっぱい…。じつはこのお話、1968年に作者が想像した未来社会、21世紀の物語なのです。さあ、今と同じようで少しちがう、もうひとつの21世紀へ出かけてみましょう!小学中級から。

見知らぬ明日

見知らぬ明日 (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 1998
「中国奥地で、なにか起っている…」新聞社に届いた一通のテレタイプは、中国・新疆ウイグル自治区に、宇宙人が攻撃をしかけてきたことを暗示するものだった。宇宙人襲来という、人類史上未曾有の事態に、米中ソの大国を中心とする国連は有効な解決策をなんら見出せない。「宇宙からの侵略」と「国際政治」という二つのテーマを融合させ、「人類の未来」に警鐘を発するSFの傑作。


1970

宇宙漂流

小松左京セレクション1 宇宙漂流 (ポプラ文庫)

ポプラ文庫 2010
太陽系の果て、冥王星から500万キロ離れた有人宇宙灯台に暮らすヨシオは、遭難宇宙船を発見する。その船には、13歳から15歳までの少年少女6名が乗っていた(『宇宙漂流』)。SF界の巨人の傑作短篇を収録したセレクション第一弾。他に『見えないものの影』を収録。

闇の中の子供

星殺し

三本腕の男

1971

青ひげと鬼

最後の隠密

地球になった男

1972

青い宇宙の冒険

青い宇宙の冒険 (講談社青い鳥文庫fシリーズ)

講談社・青い鳥文庫 2004
夜の11時になると、まもるの家の下から聞こえてくる怪しい震動音!古文書などから、こうじが丘では、この不思議な現象が何百年も前から60年ごとにおきていたことを知ったまもるたちは、その怪現象の中心地に調査にむかう。古い子守歌どおりのねじれた松葉、強い磁性をおびたくぎ…謎はますます深まっていく。壮大なスケールのSF冒険物語。小学上級から。

おちていたうちゅうせん

おちていた宇宙船 (講談社 青い鳥文庫)

講談社・青い鳥文庫 1990
「あれ、なんだろ?」「おうちかしら?」ヨッちゃんたちが森の中で見つけたのは、銀色に光る宇宙船です。中には、大ウサギやかいじゅうみたいな宇宙人が…!ヨッちゃんたちのおかしなぼうけんをえがく表題作のほか、キンタロウやカチカチ山などのけっさくパロディー「SF日本おとぎ話」をおさめた、ゆかいな短編集。

明日の明日の夢の果て

牙の時代

待つ女

継ぐのは誰か?

継ぐのは誰か? (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 1998
「チャーリイを殺す」―ヴァージニア大学都市のサバティカル・クラスの学生達に送られてきたこのメッセージは、単なる殺人予告ではなく、“人類への挑戦”だった!人類の科学技術を超えた手段で攻撃を仕掛けてくる“何者か”を追って、舞台はアマゾンへと移るのだが…。人類は果たして地球の“最終王朝”なのか、それとも“後継者”が現れてくるのか。
星雲賞日本長編部門(1971)受賞


怨霊の国

ウインク

1973

結晶星団

結晶星団 (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 1998
大宇宙の奇蹟―“結晶星団”…青白く燃える十四個の恒星が、あたかも巨大な水晶のごとく配列された美しい星団。その中心部に存在する黒点、通称「謎の暗黒」の探査に乗り出した調査隊が知り得た“事実”とは?広大なる宇宙創造の神秘と真理を幻想美に満ちた筆致で描く表題作をはじめ、宇宙を舞台とした、スケール感あふれる傑作短篇SF全十篇を収録。

アダムの裔

御先祖様万歳

時の顔

時の顔 (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 1998
時は四十世紀の未来。その高度な科学をもってしても治療不可能な難病に苦しむ友人・カズミ。実は江戸時代から連れられてきたという彼の病因を調べるため、天保年間の江戸へと向かった「僕」が知った意外な事実とは?(時の顔)―時間と空間を超えて縦横無尽に駆けめぐるタイム・トラベルの特性と魅力をあますところなく生かしきった、時間SFの名篇11篇を収録。

日本沈没

⇒ My favorite 99 books

1974

春の軍隊

夜が明けたら

夜が明けたら (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 1999
その「地震」はかなり大きなものだった。夜空は一面に青白く光り、家中の家電製品は火や煙をいっせいに噴き出した。揺れがおさまった後が困ったことになった。あらゆる電気系統がパンク状態に陥ってしまったのだ。しかしそれも、いずれ夜が明けたら解決することだろう―。非常事態に襲われた人々に、さらなる衝撃の事実が明らかにされる表題作をはじめ、SF的観点から人間心理の闇を抉るホラーの名篇十七篇。

本邦東西朝縁起覚書

鏡の中の世界

さらば幽霊

戦争はなかった

蟻の園

1975

無口な女

時間エージェント

小松左京セレクション2 時間エージェント (ポプラ文庫)

ポプラ文庫 2010
喫茶店で暇をもてあましていた失業中の戸田は、突然現われた自分と同じ顔の男に、「時間管理局」のタイムパトロールマンに採用されてしまう。奇想天外の連作SF『時間エージェント』ほか、エロティックなSF『愛の空間』など、6篇の傑作短編を収録したセレクション第二弾。

1976

虚空の足音

男を探せ

男を探せ (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 1999
半分男で、半分女?私立探偵・坂東は「魔風会」会長の娘に手を出してしまったばかりに、組織から追われ、とんでもない“手術”を施されてしまったのだ!「自分自身」を取り戻すべく逆襲を開始する坂東の前に明らかにされたのは、事件の意外な真相だった(「男を探せ」)。他に大杉探偵シリーズの三部作や、「ヴォミーサ」など、サスペンスタッチで描くSFミステリー全十篇を収録。

夢からの脱走

空飛ぶ窓

1977

飢えなかった男

こちらニッポン…

こちらニッポン… (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 1998
“異変”は突然の出来事だった。新聞記者・福井浩介はある朝、普段とはまったく違う光景を目にする―いや、「世界」はそのままなのだが、そこからは「人間」の姿が一切消えてしまっていたのだ!福井の他にも何人かの“消え残り”が確認され、この異様な事態の究明に乗り出すのだが…。人類消失という極限の状況下、人はいかに行動し、文明はいかに機能するのかを描く異色SF長篇。


ゴルディアスの結び目

ゴルディアスの結び目 (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 1998
少女マリア・Kに取り憑いたのは悪魔なのか、それとも──。彼女の精神の内部へ入り込んだサイコ・ダイバー伊藤が見たのは、おぞましい"闇"の世界だった! 解こうにも解けない人間の心の闇は、"もう一つ宇宙"への入り口なのかを問う表題作をはじめ、「岬にて」「すぺるむ・さぴえんすの冒険」「あなろぐ・らう゛」等、宇宙創造の真理に鋭く迫る"ゴルディアス四部作"を収録。

時空道中膝栗毛

時空道中膝栗毛〈前の巻〉 (ケイブンシャノベルス)

ケイブンシャノベルス 1991
文政3年、江戸は下谷のげじげじ長屋。店子の牙次郎と与太八は、床下にぽっかりと口をあけた大きな穴を見つけた。野次馬根性やみがたく、ちょっと見物と入り込んだが身の不運。時間、空間を飛び超えて、今日は地下鉄線路上、明日は邪馬台国、果ては三蔵法師に同行と、古今東西流浪の旅。心ならずも駆けめぐる時空道中、珍道中。構想雄大、奇想天外、大爆笑まちがいなしの大長篇。

題未定

題未定 (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 2000
締切りがきても、どうにも適当な題を思いつかず、題未定のまま雑誌連載を始めた私のもとに届いたのは、なんと未来の私からの手紙だった。それによれば、この雑誌連載が原因でこれから大変な「厄介事」が起こるというのだ!責任をとるべく時空の狭間に投げ込まれることになった私だが、すでに歴史は微妙な歪みを見せはじめていた…。繰り広げられる大騒動の行方はいかに?奇想のSF長篇。

物体O

物体O (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 1999
ある日突然、日本に落下してきた高さ二百キロ、直径千キロにも及ぶ“異様な物体”は、大阪付近を中心に日本をすっぽり覆ってしまった!その「物体O」の直撃を受けた東京を含む各地域は潰滅、日本は国家としての機能を失ってしまうのだが…。奇想天外なスケールで描く表題作をはじめ、壮大な発想から紡ぎ出される本格SFの名篇全十二篇を収録。


五月の晴れた日に

サテライト・オペレーション

1978

偉大なる存在

アメリカの壁

夜の声

1979

旅する女

旅する女―女シリーズ完全版 (光文社文庫)

光文社文庫 2004
京都で午過ぎに体があいた私は、ふと、高雄へ行こうと思い立った。北山杉を見、清滝川にかかる橋で和服姿の婦人とすれちがう。一陣の風が吹きあげたとき、婦人は「新さん」と知らぬ名で私を呼んだ。私の口も「勢以さん」と知らぬ名で呼びかけていた。そして二人は北山しぐれに包まれて…(「昔の女」)。慈しみあふれる視線で「女」をテーマに描いた十編を収録。

一生に一度の月

一生に一度の月 (集英社文庫)

集英社文庫 2006
全世界が注目するアポロ月面着陸のテレビ生中継を、一緒に見ようと早々に集まった作家仲間。人類のチャンピオンに敬意を払い、壮挙の歴史的瞬間を待った。だが、間をもてあました面々は、マージャンを始め…。“月”をにぎった男を描く表題作ほか、近未来をテーマにした作品など。著者の原点ともいえる自由奔放な発想の切れ味鋭いショート・ショート傑作集。

まぼろしの二十一世紀

1980

華やかな兵器

猫の首

氷の下の暗い顔

1981

一宇宙人のみた太平洋戦争

コップ一杯の戦争

遷都

遷都 (ケイブンシャ文庫)

ケイブンシャ文庫 1995
平城京、長岡京、平安京と日本史上類を見ないめまぐるしい遷都はなぜ行われたのか。新しき都―新しい時代を画す、新しい政治機構をめざして帝が行った遷都は必要不可欠だったのか。権力者たちの権謀術数に翻弄される朝廷政治の闇を独自の視点で才藻奇抜に描く表題作をはじめ、SFの巨匠が放つ本格歴史ミステリー三部作。

あやつり心中

1982

さよならジュピター

さよならジュピター〈上〉 (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 1999
二十二世紀、火星で驚くべき発見がされた。火星の北極の永久氷床の下から、太古の宇宙人が残したと思われる“地上絵”が見つかったのだ!絵に秘められたメッセージの解読を進めるうち、木星の大気中に何か重要な秘密が隠されていると知った宇宙考古学者・バーナード博士は、「木星太陽化計画」主任の本田英二に、協力を要請するのだったが…。広大な宇宙を舞台に描く一大SF巨篇。
星雲賞日本長編部門(1983)受賞
さよならジュピター デラックス版 [DVD] 「さよならジュピター」1984
監督:橋本幸治、脚本:小松左京、撮影:原一民
出演:三浦友和、マーク・パンソナ、キム・バス、ウィリアム・タビア、レイチェル・ヒューゲット


1983

機械の花嫁

大坂夢の陣

1984

黄色い泉

黄色い泉―「怪奇・幽霊」ショート&ショートショート集 (ケイブンシャ文庫)

ケイブンシャ文庫 1987
ドライブの途中、比婆山中を奥深く迷い込んだ若い夫婦を襲った異形のものたち。人間とも動物ともつかぬやつらに攫われた妻の姿を追って、妖しげな洞窟に足を踏み入れた夫が見たものは…。現代に甦る黄泉の国伝説の恐怖を描く表題作の他に名作“牛の首”など全19篇を収録した、傑作ホラー・ショート&ショートショート集。

1985

首都消失

首都消失 (上) (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 1998
首都圏に大異変発生! 都心を中心に、半径三十キロ、高さ千メートルにもなる正体不明の巨大な"雲"が突如発生、通信・電波・交通などあらゆる連絡手段が途絶されてしまったというのだ。中に閉じこめられた人々は無事なのか? そして政府はどうなってしまったのか? 国家中枢を完全に失ってしまった日本の混迷を描く、日本SF大賞受賞のパニック巨篇。
首都消失《デジタル・リマスター》 [DVD] 「首都消失」東宝 1987
監督・脚本:舛田利雄、脚本:山浦弘靖、撮影:飯村雅彦
出演:渡瀬恒彦、名取裕子、山下真司、大滝秀治、石野陽子ほか


1986

こちら“アホ課”

こちら“アホ課” (ケイブンシャ文庫)

ケイブンシャ文庫 1986
いつの世も哀しきものはサラリーマン。会社に行けば上司に怒鳴られ、家に帰れば女房にペコペコ。家のローンに車のローン、疲れるばかりの家族サービス。まさにこの世の生き地獄。一読すれば思わずニヤリ、次の刹那に背筋がゾクリ。SFの鬼才が贈る、ユーモアと風刺のスパイスたっぷりの企業・ビジネスマンショートショート集。

1987

虚無回廊

虚無回廊〈1〉 (ハルキ文庫)

ハルキ文庫 2000
“SS”―宇宙空間に突如出現した謎の物体。真径一・二光年、長さ二光年という、人類の技術をはるかに超えた存在を、一体何者が何のためにつくり上げたのか?AE(人工実存)の研究者・遠藤を中心とした探査計画は、AE・HE2によるSSとのコンタクトをはかる。しかし遠藤は突然の死を遂げ、HE2からの通信も途絶えてしまう。プロジェクトは頓挫したかに思われるのだったが…。新たな“宇宙史”の幕が今、上がる。


ぬすまれた味

ぬすまれた味 (ケイブンシャ文庫)

ケイブンシャ文庫 1987
生キャビアに、シャンパン。アドリア海の舌びらめに、松坂肉。しかし、こんな豪勢な料理に、もし味がなかったら…。進んだ医学で脳みそだけが生き残った老人に、味覚と快感をぬすまれた男の珍騒動を描く表題作のほか、いかもの食いから、人を食った話まで、ホラー風味のフルコースで贈る、SFグルメショートショート集。

1988

時也空地球道行

時空道中膝栗毛〈後の巻〉時也空地球之道行 (ケイブンシャ文庫)

ケイブンシャ文庫 1999
江戸泰平の大箆棒牙次、与太に、時空を弄ぶ男サンザ、邪馬台国のタヅメ、さらには著者自身とカメラマンまでまきこまれ、時間と場所を往きつ戻りつ珍道中がつづく。中国青海奥地から十三世紀のキプチャク汗国、そして紀元前六世紀の古代ケルトなど、歴史短し、地球せましと飛び回る。著者の運命もわからぬ時空の旅は果たしてどこにおさまりますか。待望の時空道中完結篇。

1995

小松左京ショートショート全集

ホクサイの世界―小松左京ショートショート全集〈1〉 (ハルキ文庫)

「ホクサイの世界」ハルキ文庫 2003
「これ、フジヤマね。私、前から一度この山を見たいと思ってたのよ」―図書館で二十世紀発行の葛飾北斎の画集を見つけた僕と妻。二十三世紀に大爆発を起こして変形してしまった富士山の江戸時代の雄姿を見たい一心でタイムマシンに乗りこんだのだが、目にしたのは果たして…(「ホクサイの世界」より)。ショートショート全集としては初収録になる「靴屋の小人」「かつがれ屋」を含む全四十篇。

月よ、さらば (ハルキ文庫―小松左京ショートショート全集)

「月よ、さらば」ハルキ文庫 2003
「役員室」と書かれた部屋の中で、十人の役員たちが、暗い顔つきで、だまってすわっていた……。金星商事に不渡りをつかまされ、倒産目前の彼らは、オリオン物産からの融資に一縷の望みを託していたのだ。もしこの交渉がうまくいかなければ……(「月よ、さらば」より)。全集としては初の収録になる「大混線」「ハーモニカ」を含む全四十篇からなるショートショート全集第二弾。

役に立つハエ―小松左京ショートショート全集〈3〉 (ハルキ文庫)

「役に立つハエ」ハルキ文庫 2003
清潔にしていてもどこからか湧いて出てきて、迷惑きわまりないハエ。この問題を解決しようと、ある研究所が「役に立つハエ」の品種改良を完成させた。家の中には入ってこないし、食物にたかることもない。ゴミだけを餌とするので街中もきれいになる・・・・・・といいことずくめのように思われたのだったが― (「役に立つハエ」より)。 「さらば幽霊」「わびしい時は立体テレビ」の二篇を新たに収めた全四十四篇。

ふかなさけ―小松左京ショートショート全集〈4〉 (ハルキ文庫)

「ふかなさけ」ハルキ文庫 2003
パチンコをすれば大当たりで玉が止まらない。食券を買えば注文と違う高価な食券が出てくる。覚えもないのに会社の営業成績が二倍以上になっている…。自分の意思と関係なく、すべての物事が良いほうへ良いほうへと転がっていく不思議な事態に見舞われた男にまつわる因縁話とは?―(「ふかなさけ」)。「失業保険」と「変貌」の二篇を全集として新たに収めて贈る全三十三篇。

午後のブリッジ―小松左京ショートショート全集〈5〉 (ハルキ文庫)

「午後のブリッジ」ハルキ文庫 2003
人口増加のため、“食べられる動物”はほとんど絶滅し、口にするのは合成食品ばかりになってしまった近未来。天然動物の味を忘れられない人々がひそかに集う秘密クラブでは今日もまた極上の食事を供する饗宴が催されようとしていた…。さて本日のメニューとは(「午後のブリッジ」)。これまで単行本未収録だった「にげた宇宙人」を含む全四十八篇。小松左京ショートショート全集完結。

2006

日本沈没 第二部

日本沈没 第二部〈上〉 (小学館文庫)

*谷甲州との共著
小学館文庫 2008
海底に眠る「日本」の遺跡が慰霊祭で映し出される。日本列島が海の底に沈んでから二十五年がすぎていた―。国土を失った日本人は、パプアニューギニアやカザフスタンなど世界各地に入植していたが、現地の人々との軋轢もまた厳然と存在していた。一方、中田首相を中心とした日本政府の研究グループは国の復興のために、あるプロジェクトを密かに進めていた。旧日本海上に広大な人工島を建造する計画―だがそれは中国や北朝鮮など、周辺国との利害対立を生むものだった。四〇〇万部ベストセラーの刊行から三十三年の時を経て、ついに描かれた衝撃の続編。
星雲賞日本長編部門(2007)受賞


2009

すぺるむ・さぴえんすの冒険

すぺるむ・さぴえんすの冒険―小松左京コレクション (ボクラノSF 4)

福音館書店
「お前を人類の中からただ一人えらんで、宇宙の一切の秘密と真理を教えよう。その代償に、こちらは二百二十億の全人類の命をうばう……。どうだ? お前は、申し出を受けるか?」ノアの箱船や杜子春をモチーフに、人類の破滅そして再生を描く表題作『すぺるむ・さぴえんすの冒険』のほか、三千年前の遺跡から発見された「ぼくが消える日に……」と題された手記から、驚くべき事実が次第に明らかになっていく『お召し』、宇宙創造の神秘に圧倒的な時間的、空間的スケールで迫る『結晶星団』など、今、ぼくたちが立っているこことは異なる場所、もしかしたら、ありえたかもしれないもう一つの世界の可能性についての、巨人小松左京による壮大な問いかけ全6篇を収録。脳のふるえがとまらなくなる傑作集。