西村京太郎『殺しの双曲線』

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殺しの双曲線 (講談社文庫 に 1-4)

『殺しの双曲線』
講談社文庫
差出人不明で、東北の山荘への招待状が6名の男女に届けられた。彼らは半信半疑で出かけて行く。雪に埋もれ、幸福感に酔っていた彼らはやがて恐怖のどん底に突き落とされた。殺人が発生したのだ。しかも順々に……。クリスティ女史の名作「そして誰もいなくなった」に、異色の様式で挑戦する本格推理長編。
 西村京太郎というと、「列車ミステリー」「多作」というイメージが強い作家だけど、僕が好きなのは初期の作品で、現在のイメージとは違った意味で“すごい作家”である。 個人的には1970年の作風と書き込みがなくなってしまったのが惜しい気がしてる。
 この『殺しの双曲線』はクリスティの『そして誰もいなくなった』を意識したミステリである。 雪に埋もれた山荘で、《かくして第一の復讐が行われた》というメッセージと共に、泊まり客が次々に殺されていく。 そして警察が山荘にたどり着いた時には宿泊客はすべて死亡していた……という展開。 これとは別に、東京を舞台にした双子の兄弟による強盗事件が同時進行で描かれる。 双子であることを最大限に利用したトリックに警察は翻弄されるが、やっとこの兄弟を逮捕した時、警察に《かくてすべての復讐が終わった》というメッセージが届く。 この一見無関係に思える事件をつなぐ糸は何か……。 ね?面白そうでしょ? 小説全体に大きな叙述トリックも仕掛けてあって、見事に騙されます。
 他に初期の作品では「名探偵」シリーズがオススメ。 推理ファンなら必ず楽しめるパロディ小説である。 老年のクイーン、メグレ、ポワロ、明智小五郎が推理を競うんだから面白くないはずがない。 各探偵についても登場作品がしっかり読み込まれているし、パロディといえども最後に大きな“どんでんがえし”が用意してあるし、なかなか侮れない作品だと思う。 ただし『名探偵に乾杯』だけは、必ずクリスティ『カーテン』読了後に。


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Bibliography

オススメ作品 1960〜70年代 1980年代
1990年代 2000年代 2010年代