加納朋子『ささらさや』

My favorite 99 books

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『ささらさや』
幻冬舎文庫
夫を突然の事故で失ったサヤは残された赤ちゃんのユウ坊とふたり「佐々良」という街へ移住する。そこでは数々の不思議な事件がサヤの身にふりかかる。けれどその度に亡くなった夫が他人の姿を借りて助けに来てくれるのだ。また久代、夏、珠子という三人のお婆さんや、エリカとダイヤ親子という素敵な友だちもできた。しかし、そんなサヤに夫の家族がユウ坊を引き取りたいと圧力をかけてくる。そしてユウ坊が誘拐された……。ゴーストになった夫と残された妻・サヤが永遠の別れを迎えるまでの切なく愛しい日々を描く長編ミステリ小説。
「トランジット・パッセンジャー」「羅針盤のない船」「笹の宿」「空っぽの箱」「ダイヤモンドキッズ」「待っている女」「ささらさや」「トワイライト・メッセンジャー」
 頼りない妻(サヤ)と幼い赤ん坊を残して事故死してしまった夫が幽霊(?)になって……、と物語の始まりはベタな設定だけど、残された母子を取り囲むように徐々に形成されてくる人間の輪が、やさしく、あたたかい。
 世の中には善意と悪意と無関心とが混在するし、作者は主人公の頼りげない母子をその現実の真っ只中に置くけれども、周囲の善意はサヤに生きる勇気を与え、悪意もそれに正面から向き合うことでサヤをたくましく成長させる。
 物騒な話題に事欠かない昨今、ご近所さんどうしで声を掛け合って助け合うことの大切さも実感させてくれたりする。 ラストは、泣く。わかってて読み返しても、泣く。ただし、読後感はとてもさわやかだ。
ささらさや (幻冬舎コミックス漫画文庫 あ 2-1) コミック版 碧也ぴんく/画 幻冬舎コミックス漫画文庫



Bibliography

1992

ななつのこ

ななつのこ (創元推理文庫)

東京創元社/創元推理文庫 1999
表紙に惹かれて手にした『ななつのこ』にぞっこん惚れ込んだ駒子は、ファンレターを書こうと思い立つ。わが町のトピック「スイカジュース事件」をそこはかとなく綴ったところ、意外にも作家本人から返事が。しかも、例の事件に客観的な光を当て、ものの見事に実像を浮かび上がらせる内容だった――。こうして始まった手紙の往復が、駒子の賑わしい毎日に新たな彩りを添えていく。第3回鮎川哲也賞受賞作。
「すいかジュースの涙」「モヤイの鼠」「一枚の写真」「バス・ストップで」「一万二千年後のベェガ」「白いタンポポ」「ななつのこ」


1993

魔法飛行

魔法飛行 (創元推理文庫)

東京創元社/創元推理文庫 2000
もっと気楽に考えればいいじゃないか。手紙で近況報告するくらいの気持ちでね――という言葉に後押しされ、物語を書き始めた駒子。妙な振る舞いをする“茜さん”のこと、噂の幽霊を実地検証した顛末、受付嬢に売り子に奮闘した学園祭、クリスマス・イブの迷える仔羊……身近な出来事を掬いあげていく駒子の許へ届いた便りには、感想と共に、物語が投げかける「?」への明快な答えが。
「秋、りん・りん・りん」「クロス・ロード」「魔法飛行」「ハロー、エンデバー」


1995

掌の中の小鳥

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東京創元社/創元推理文庫 2001
ここ“エッグ・スタンド”はカクテルリストの充実した小粋な店。謎めいた話を聞かせてくれる若いカップル、すっかりお見通しといった風の紳士、今宵も常連の顔が並んでいます。狂言誘拐を企んだ昔話やマンションの一室が消えてしまう奇談に興味はおありでしょうか? ミステリがお好きなあなたには、満足していただけること請け合い。――お席はこちらです。ごゆっくりどうぞ。
「掌の中の小鳥」「桜月夜」「自転車泥棒」「できない相談」「エッグ・スタンド」


1996

いちばん初めにあった海

いちばん初めにあった海 (角川文庫)

角川書店/角川文庫 2000
堀井千波は周囲の騒音に嫌気がさし、引っ越しの準備を始めた。その最中に見つけた一冊の本、『いちばん初めにあった海』。読んだ覚えのない本のページをめくると、その間から未開封の手紙が……。差出人は“YUKI”。だが、千波にはこの人物に全く心当たりがない。しかも、開封すると、「私も人を殺したことがあるから」という謎めいた内容が書かれていた。“YUKI”とは誰なのか? なぜ、ふと目を惹いたこの本に手紙がはさまれていたのか? 千波の過去の記憶を辿る旅が始まった――。心に傷を負った二人の女性の絆と再生を描く感動のミステリー。
「いちばん初めにあった海」「化石の樹」


1997

ガラスの麒麟

ガラスの麒麟 (講談社文庫)

講談社/講談社文庫 2000
「あたし殺されたの。もっと生きていたかったのに」。通り魔に襲われた十七歳の女子高生安藤麻衣子。美しく、聡明で、幸せそうに見えた彼女の内面に隠されていた心の闇から紡ぎ出される六つの物語。少女たちの危ういまでに繊細な心のふるえを温かな視線で描く、感動の連作ミステリ。日本推理作家協会賞受賞作。
「ガラスの麒麟」「三月の兎」「ダックスフントの憂鬱」「鏡の国のペンギン」「暗闇の鴉」「お終いのネメゲトサウルス」
ガラスの麒麟(1) (バーズコミックススペシャル) ガラスの麒麟 2 (バーズコミックス) コミック版 碧也ぴんく/画 バーズコミックススペシャル


1998

月曜日の水玉模様

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集英社/集英社文庫 2001
いつもと同じ時間に来る電車、その同じ車両、同じつり革につかまり、一週間が始まるはずだった――。丸の内に勤めるOL・片桐陶子は、通勤電車の中でリサーチ会社調査員・萩と知り合う。やがて2人は、身近に起こる不思議な事件を解明する〈名探偵と助手〉というもう一つの顔を持つように……。謎解きを通して、ほろ苦くも愛しい「普通」の毎日の輝きを描く連作短篇ミステリー。
「月曜日の水玉模様」「火曜日の頭痛発熱」「水曜日の探偵志願」「木曜日の迷子案内」「金曜日の目撃証人」「土曜日の嫁菜寿司」「日曜日の雨天決行」


1999

沙羅は和子の名を呼ぶ

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集英社/集英社文庫 2002
もしもあの時、別の選択をしていれば、全く違う人生を歩んでいたのだろうか……。平凡な会社員・元城一樹のふとした夢想が、すべての始まりだった。一人娘の和子の前に姿をあらわした不思議な少女沙羅。その名前が甦らせる、消し去ったはずの過去。やがて、今ある世界と、あり得たはずの世界とが交錯しはじめて――。表題作を含む、全10編を収録。珠玉のミステリ短編集。
「黒いベールの貴婦人」「エンジェル・ムーン」「フリージング・サマー」「天使の都」「海を見に行く日」「橘の宿」「花盗人」「商店街の夜」「オレンジの半分」「沙羅は和子の名を呼ぶ」


2000

螺旋階段のアリス

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文藝春秋/文春文庫 2003
大企業のサラリーマンから憧れの私立探偵へ転身を果たした筈だったが――事務所で暇を持て余していた仁木順平の前に現れた美少女・安梨沙。……亡夫が自宅に隠した貸金庫の鍵を捜す主婦、自分が浮気をしていないという調査を頼む妻。人々の心模様を「不思議の国のアリス」のキャラクターに託して描く七つの物語。
「螺旋階段のアリス」「裏窓のアリス」「中庭のアリス」「地下室のアリス」「最上階のアリス」「子供部屋のアリス」「アリスのいない部屋」


2001

ささらさや

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幻冬舎/幻冬舎文庫 2004
夫を突然の事故で失ったサヤは残された赤ちゃんのユウ坊とふたり「佐々良」という街へ移住する。そこでは数々の不思議な事件がサヤの身にふりかかる。けれどその度に亡くなった夫が他人の姿を借りて助けに来てくれるのだ。また久代、夏、珠子という三人のお婆さんや、エリカとダイヤ親子という素敵な友だちもできた。しかし、そんなサヤに夫の家族がユウ坊を引き取りたいと圧力をかけてくる。そしてユウ坊が誘拐された……。ゴーストになった夫と残された妻・サヤが永遠の別れを迎えるまでの切なく愛しい日々を描く長編ミステリ小説。
「トランジット・パッセンジャー」「羅針盤のない船」「笹の宿」「空っぽの箱」「ダイヤモンドキッズ」「待っている女」「ささらさや」「トワイライト・メッセンジャー」
ささらさや (幻冬舎コミックス漫画文庫 あ 2-1) コミック版 碧也ぴんく/画 幻冬舎コミックス漫画文庫

2002

虹の家のアリス

虹の家のアリス (文春文庫)

文藝春秋/文春文庫 2005
育児サークルへの嫌がらせの犯人は? 連続殺猫事件の真相は? 仁木探偵事務所に持ちこまれる様々な謎は、美少女安梨沙の助けで鮮やかに解決する。「アリス」と猫とティータイムを愛する名探偵登場。
「虹の家のアリス」「牢の家のアリス」「猫の家のアリス」「幻の家のアリス」「鏡の家のアリス」「夢の家のアリス」


2003

コッペリア

コッペリア (講談社文庫)

講談社/講談社文庫 2006
恋をした相手は人形だった。作者は如月まゆら。だが、人形はエキセントリックな天才作家自らの手で破壊されてしまう。修復を進める僕の目の前に、人形に生き写しの女優・聖が現れた。まゆらドールと女優が競演を果たすとき、僕らは?日本推理作家協会賞受賞作家が新境地を開く、初めての長編ミステリー。


レインレイン・ボウ

レインレイン・ボウ (集英社文庫)

集英社/集英社文庫 2006
高校ソフトボール部仲間の通夜で再会した、七人の女性たち。二十五歳を迎え、それぞれが悩みやトラブルを抱えていた。過酷な仕事に疲れた看護師、厄介な職場で奮闘する栄養士、過去のあやまちを引きずる主婦…。彼女たちは、傷つき、迷いながら自分だけの答えを見つけていく―。ミステリのエッセンスを加えながら、前向きに生きようとする女性の姿を描いた、爽やかな青春群像劇。
「サマー・オレンジ・ピール」「スカーレット・ルージュ」「ひよこ色の天使」「緑の森の夜鳴き鳥」「紫の雲路」「雨上がりの藍の色」「青い空と小鳥」


2004

スペース

スペース (創元推理文庫)

東京創元社/創元推理文庫 2009
ご存じだろうか。“魔が差す”という瞬間は、たぶんどんな人にも一度や二度は訪れるものなのだ。そう、犯罪行為などとは地球とアンドロメダ星雲くらいにかけ離れている駒子にさえ、その瞬間は突然やってきたのだから。クリスマスにひいた風邪が軽快し、空はすこんと晴れ上がった大晦日、出かけたデパートであるものに目を奪われたばかりに、息が止まりそうな思いをした駒子は…。


2005

てるてるあした

てるてるあした (幻冬舎文庫)

幻冬舎/幻冬舎文庫 2008
親の夜逃げのため、ひとり「佐々良」という町を訪れた中学生の照代。そこで彼女が一緒に暮らすことになったのは、おせっかいなお婆さん、久代だった。久代は口うるさく家事や作法を教えるが、わがまま放題の照代は心を開かない。そんなある日、彼女の元に差出人不明のメールが届き始める。その謎が解ける時、照代を包む温かい真実が明らかになる。
てるてるあした DVD-BOX TVドラマ 「てるてるあした」(テレビ朝日系/金曜ナイトドラマ/2006)
出演:木村多江(サヤ)、黒川智花(照代)、さくら(エリカ)、草笛光子(久代さん)

ななつのこものがたり

ななつのこものがたり

東京創元社
はやてがあやめさんと出会ったみたいに、人と本だってとってもすてきで、すごく大切な出会いをすることがあるの。“駒子シリーズ”のヒロイン入江駒子の愛読書がすてきな絵本になりました。 イラスト:菊池健


2006

少年少女飛行倶楽部

少年少女飛行倶楽部 (文春文庫)

文藝春秋/文春文庫 2011
中学一年生の海月は幼なじみの樹絵里に誘われて、「飛行クラブ」に入部する。メンバーは二年生の変人部長・神ことカミサマ、野球部兼部の海星、不登校で高所平気症のるなるな、運動神経はないけど気は優しい球児。果たして彼らは空に舞い上がれるか!?友情、家族愛、恋、冒険―全てがつまった傑作青春小説。


モノレールねこ

モノレールねこ (文春文庫)

文藝春秋/文春文庫 2009
小学生のぼくは、ねこの首輪に挟んだ手紙で「タカキ」と文通をする。ある日、ねこが車に轢かれて死に、タカキとの交流は途絶えたが…。表題作の「モノレールねこ」ほか、ザリガニの俺が、家族を見守る「バルタン最期の日」など、夫婦、親子、職場の同僚など、日常にさりげなく現われる、大切な人との絆を描いた8編。


2007

ぐるぐる猿と歌う鳥

ぐるぐる猿と歌う鳥 (講談社ノベルス)

◇講談社ミステリーランド/講談社ノベルス 2010
小学五年生の高見森は、父親の転勤のため北九州に引っ越すことになった。転校先で出会った、同じ社宅に住む仲間たち―ココちゃん、あや、竹本兄弟、そしてパック。新しい友だちと楽しい日々を過ごす森だったが、徐々に違和感を覚え始める。誰かが描いた地上絵、図書室の暗号、友だちの秘密…。小さな謎に秘められた、驚きの真実とは。


2010

七人の敵がいる

七人の敵がいる (集英社文庫)

集英社/集英社文庫 2012
編集者としてバリバリ仕事をこなす山田陽子。一人息子の陽介が小学校に入学し、少しは手が離れて楽になるかと思ったら―とんでもない!PTA、学童保育所父母会、自治会役員…次々と降りかかる「お勤め」に振り回される毎日が始まった。小学生の親になるって、こんなに大変だったの!?笑って泣けて、元気が湧いてくる。ワーキングマザーの奮闘を描く、痛快子育てエンターテインメント。

2012

無菌病棟より愛をこめて

無菌病棟より愛をこめて

文藝春秋
2010年6月、私は急性白血病だと告知された。愛してくれる人たちがいるから、なるべく死なないように頑張ろう。たくさんの愛と勇気、あたたかな涙と笑いに満ちた壮絶な闘病記。