1982

焦茶色のパステル

●講談社ノベルズ/講談社文庫 1984/講談社文庫(新装版) 2012

東北の牧場で牧場長と競馬評論家・大友隆一が殺され、サラブレッドの母子、モンパレットとパステルが銃撃された。隆一の妻である香苗は競馬の知識は一切持っていなかったが、夫の死に疑問を抱き、次々と怪事件に襲われる。一連の事件の裏には、競馬界を揺るがす恐るべき秘密が隠されていた。

◆江戸川乱歩賞(1982年)受賞

1983

七年目の脅迫状

●講談社ノベルズ/講談社文庫 1986

中央競馬会に脅迫状が届いた。「10月2日、中山第10レースの1番の馬を勝たせよ。この要求を受け入れなかった場合には……」最初に2億円のサラブレッドが、治療法のない伝貧(馬伝染性貧血)の犠牲になった。密命を帯びた中央競馬会保安課員・八坂心太郎が北海道へ飛ぶ。本格推理の新星・岡嶋二人の長編会心作。


あした天気にしておくれ

●講談社ノベルズ/講談社文庫 1986

競馬界を舞台にしたミステリーの最高傑作。北海道で3億2千万円のサラブレッド「セシア」が盗まれた。脅迫状が届き、「我々はセシアを誘拐した」で始まる文面は、身代金として2億円を要求してきていた。衆人環視のなかで、思いもかけぬ見事な方法で大金が奪われる。鮮やかなトリックが冴える長編会心作。

1984

タイトルマッチ

●角川ノベルズ/徳間文庫 1989/講談社文庫 1993

元世界ジュニア・ウェルター級のチャンピオン最上永吉の息子が誘拐された。彼を破ったジャクソンに義弟が挑むタイトルマッチ二日前の事だった。犯人の要求は、"相手をノックアウトで倒せ。さもなくば子供の命はない"。犯人の狙いは何か。意想外の脅迫に翻弄される捜査陣。ラストまで一気のノンストップ長編推理。


開けっ放しの密室

●講談社/講談社文庫 1987

ユーモアと恐怖が交錯するミステリー傑作集。親友の夏美が引越したばかりのアパートで殺されてしまった。前夜泊まり込んでいた悦子は、警察の鈍い捜査にいらだち、自分で犯人捜しに乗り出した。なぜ犯人は密室の鍵を開けていったのか。表題作など、軽やかな都会派ミステリーの魅力があふれる6編を収録。
「罠の中の七面鳥」「サードシートに赤いリボン」「危険がレモンパイ」「がんじがらめ」「火をつけて、気をつけて」「開けっぱなしの密室」


どんなに上手に隠れても

●徳間ノベルズ/徳間文庫 1988/講談社文庫 1993

多くの人が出入りするテレビ局から、白昼、売り出し中の歌手が誘拐された。しかもその直前、この誘拐を暗示する奇妙な匿名電話が警察に入っていた。芸能プロやCMのスポンサーたちの対応、駆け引き、警察の地道かつ執拗な捜査、そして事件の驚嘆すべきトリックまで、リアルに描ききった傑作長編推理。


三度目ならばABC

●講談社ノベルズ/講談社文庫 1987/講談社文庫(増補版) 2010

きわめつきのユーモア推理。織田貞夫(おださだお)、土佐美郷(とさみさと)という逆さに読んでも同じ名前で大男と小女の愉快なペアが、テレビ局を舞台に縦横無尽の大活躍。ABC殺人事件をヒントに金曜日の東京を恐怖に陥れたライフル魔を追跡する表題作のほか、「十番館の殺人」「プールの底に花一輪」など、都会派ミステリーの旗手が贈る連作集。
「三度目ならばABC」「電話だけが知っている」「三人の夫を持つ亜矢子」「七人の容疑者」「十番館の殺人」「プールの底に花一輪」「はい、チーズ!」

1985

チョコレートゲーム

●講談社ノベルズ/講談社文庫 1988/双葉文庫 2000/講談社文庫(新装版) 2013

名門秋川学園大付属中学3年A組の生徒が次々殺された。犯人とされたのは作家・近内の息子の省吾。なぜ事件は起きたのか?なぜ息子は何も言わなかったのか。そこに「チョコレートゲーム」という謎のゲームが浮かび上がる。中学生の生態と親の苦悩も見事に描かれた名作サスペンス。日本推理作家協会賞受賞作。

◆日本推理作家協会賞(1986年)受賞


なんでも屋大蔵でございます

●新潮社/新潮文庫 1988/講談社文庫 1995

世間様では、あたし“なんでも屋の大蔵”と呼ばれておりまして、ご用命さえあれば引っ越しのお手伝いから、留守中のペットの世話、雨漏りの修理までなんでも格安で承ります。こう商売をやっておりますと色々と珍妙な事件に遭遇しますもんで――鋭い勘と名推理で難事件を次々解決する便利屋・釘丸大蔵の事件簿。
「浮気の合い間に殺人を」「白雪姫がさらわれた」「パンク・ロックで阿波踊り」「尾行されて、殺されて」「そんなに急いでどこへ行く」


5W1H殺人事件

●双葉ノベルズ/《改題》『解決まではあと6人』双葉文庫 1989/講談社文庫 1994

次々と興信所を訪れては、およそ事件とは思われない奇妙な依頼をしていく謎の女・平林貴子。いったい、彼女の本当の目的は何なのか。やがて、それぞれの調査報告が、ひとつの輪のように繋がって隠された大事件の全容が明らかになっていく。斬新なスタイルで、読者に挑戦する華麗なるメドレー・ミステリー。


とってもカルディア

●講談社ノベルズ/講談社文庫 1988

ペア探偵、織田貞夫(おださだお)・土佐美郷(とさみさと)、大男と小女の愉快な山本山コンビが、死体なき殺人事件に挑む。信州の田舎から久しぶりに出て来た貞夫の友人が、変な行動をしたあと、美郷の新品の全自動カメラと共に姿を消してしまった。美郷の快推理、エンジン始動!謎が謎を呼ぶ長編ユーモア推理。


ちょっと探偵してみませんか

●講談社/講談社文庫 1989

25の謎であなたに挑戦する、鬼才岡嶋二人の傑作推理短編集。犯人はだれか、なぜ完全犯罪は破れたか、暗号やダイイング・メッセージの解読。「ちょっと考えてみて下さい」という文章が探偵ゲームの始まりです。南伸坊のイラスト入り、超短編ミステリー集。


ビッグゲーム

●講談社ノベルズ/講談社文庫 1988

プロ野球情報戦の暗部を鋭くえぐる傑作ミステリー。高度のデータ野球でV4をめざす新日本アトラス。これをはばもうとする他球団ではネット裏で必死の情報収集が行われていた。アトラス球団の覗き部屋と呼ばれる情報管理室スタッフが不可解な殺人事件に遭遇する。データを狙うスパイを操るのは誰なのか?

1986

ツァラトゥストラの翼

●講談社スーパーシュミレーションノベルズ/講談社文庫 1990/講談社デジタルゲームブック 1995

この本は一頁から順には読めません。あなたにささやきかける陰の声に対するあなた自身の選択と決断に従って物語が作られていきます。宝石"ツァラトゥストラの翼"を盗んだ犯人を追って、ただ一つの正解をめざしてスタートして下さい。岡嶋二人が贈る、数千万、数億通りの変化が楽しめる究極のミステリー。


コンピュータの熱い罠

●カッパ・ノベルズ/光文社文庫 1990/講談社文庫 2000

夏村絵里子はコンピュータ結婚相談所のオペレータ。データを見たいという女性の申し出を断わった翌日、その女性が殺された。疑問を抱いた絵里子はデータを調査、システム上で何かが動いていることを知る。プログラムに隠された巨大な陰謀。そして次の犠牲者が…。情報化社会に警鐘を鳴らす、著者得意のハイテク・サスペンス。


七日間の身代金

●実業之日本社/徳間文庫 1990/講談社文庫 1998

プロ歌手の卵・千秋とピアニストの要之助はレコード出版を夢見るカップル。けれど千秋の父で警察署長の近石は、二人の交際が気に入らない。ある日、千秋の友人で富豪の後添いに入った須磨子が助けを求めてきた。義理の息子と実弟が誘拐され、湘南の小島で身代金を渡すというのだ。近石署長以下が大包囲した島は、もはや密室だと思われたが…。千秋と要之助の俄か探偵が活躍する青春ミステリー話題作。

1987

珊瑚色ラプソディ

●集英社/集英社文庫 1990/講談社文庫 1997

結婚式を控えシドニーから帰国した里見は、婚約者の彩子が沖縄旅行中に倒れ入院したと聞く。しかも、彩子は二日間の記憶を失い女友だちは行方不明。彩子が男といたという証言に動揺しながらも、婚約者を信じ真相を追い求める里見の前に立ちはだかるのは…。南の楽園の悲しみが明かされる長編サスペンス。


殺人者志願

●カッパ・ノベルズ/光文社文庫 1990/講談社文庫 2000

「私たちが死ぬのと、中原美由紀って人が死ぬのと、どっちがいい?」返すあてのない借金に切羽詰まつた若夫婦は、殺人を請け負う。2人はまんまと密室殺人の罠へ獲物を誘いこむが、土壇場で怖くなり止めを刺せなかった。しかし、証拠湮滅のために現場に戻った2人の前に依頼人の死体が。気儘な夫婦がはまった奇怪なトリック。岡嶋サスペンスの真骨頂。


ダブルダウン

●小学館/集英社文庫 1991/講談社文庫 2000

フライ級・4回戦。対戦中のボクサーが突然相次いで倒れ死亡した。そして両人の体内から青酸化合物が検出された。リング上の劇的殺人を取材する週刊誌記者・中江聡介とひょんなことからコンビを組むことになった編集者・福永麻沙美。2人はボクシング評論家・八田芳樹の助言を得て、まばゆいライトの許に暗躍する様々な人間たちを知るが…。事件は二転三転し意外な人物が浮び上がる。長編ミステリー。


そして扉が閉ざされた

●講談社/講談社文庫 1990

富豪の若き一人娘が不審な事故で死亡して三カ月、彼女の遊び仲間だった男女四人が、遺族の手で地下シェルターに閉じ込められた。なぜ?そもそもあの事故の真相は何だったのか?四人が死にものぐるいで脱出を試みながら推理した意外極まる結末は?極限状況の密室で謎を解明する異色傑作推理長編。

1988

眠れぬ夜の殺人

●双葉社/双葉文庫 1990/講談社文庫 1996

最初は、単なる酒に酔った喧嘩での致死事件と思われた。だが、そうではなかった。金を強請るために仕組まれた犯罪だったのだ。五件目の酒酔い事件が起きた直後、警視庁刑事部の秘密部外組織が密かに動き始めていた。―姿なき犯人から容赦なく届く脅迫状。息づまるサスペンス。闇の彼方におぼろに見え隠れする意外な犯人。傑作長編ミステリー。


殺人!ザ・東京ドーム

●カッパ・ノベルズ/光文社文庫 1991/講談社文庫 2002

東京ドームでの巨人・阪神戦、ホームランで試合が最高に盛り上がった瞬間、スタンドで殺人が!アマゾンの猛毒クラーレを使い、犯人は巨神戦の毎試合、無差別殺人を重ねてゆく。理解不能な異常犯罪の残虐さが、日本中を戦慄させる。大胆で巧妙な犯行に、なす術もなく翻弄される捜査陣。そこに1000万円を要求する脅迫状が。万全の態勢をしいた捜査陣だが、球場全体がパニックに襲われる中、さらに予想外の惨劇が起きた。話題のハイテク・スタジアムを舞台に展開される、スリルとサスペンス溢れる凍血の緊迫ドラマ。


99%の誘拐

●徳間書店/徳間文庫 1990/講談社文庫 2004

昭和51年、カメラ、OA機器メーカー・リカードの開発事業部長・生駒洋一郎が、43年に起きた息子慎吾の誘拐事件の手記を残して病死した。昭和63年、リカードの武藤社長の孫・葛原兼介が誘拐された。しかも、パソコン通信を使って。犯人からの要求は、10億円のダイヤの原石。そして、運搬役に指定されたのは、リカードに入社していた生駒慎吾だったのだ。

1989

クリスマス・イヴ

●中央公論社/中公文庫 1991/講談社文庫 1997

山深い別荘でのクリスマス・パーティに向かった敦子と喬二。夜になって到着したその別荘はまっ暗で、荒らされた室内には友人の血まみれの死体が…。雪に閉ざされ孤立した別荘地でイヴの夜に起こった恐ろしき惨劇。凶悪で強靱な殺人鬼から果たして逃れることはできるのか!?恐怖と緊迫の傑作長篇サスペンス。


記録された殺人

●講談社文庫/《増補改題》『ダブル・プロット』講談社文庫 2011

若い母親が死んだ真相と赤子の行方、フィルムに記録されていた驚くべき殺人手口、遅れて配達された年賀状に隠された犯罪…日本ミステリー界の至宝・幻の名コンビ岡嶋二人による傑作短編集。既刊の『記録された殺人』に、表題作を含めた3編の未収録作品を加え、再編成した文庫オリジナル。
「ダブル・プロット」「記録された殺人」「こっちむいてエンジェル」「眠ってサヨナラ」「バッド・チューニング」「遅れて来た年賀状」「迷い道」「密室の抜け穴」「アウト・フォーカス」


眠れぬ夜の報復

●双葉社/双葉文庫 1992/講談社文庫 1999

玄関に母が倒れていた。父は便所の前で後頭部を割られ、妹は二階の自室でベッド下に片足を突っ込むような格好で死んでいた。恐ろしい事件が起こったのは16年前のこと。すべては時効になっていた。ただ一人生き残ったプロボウラー草柳史生が仕事先のボウリング場で見かけた一個のボウルが彼の事件の真相追求への道を再び歩ませる原因となった。


クラインの壺

●新潮社/新潮文庫 1993/講談社文庫 2005

ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけでヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることになった青年、上杉。アルバイト雑誌を見てやって来た少女、高石梨紗とともに、謎につつまれた研究所でゲーマーとなって仮想現実の世界へ入り込むことになった。ところが、二人がゲームだと信じていたそのシステムの実態は…。現実が歪み虚構が交錯する恐怖。

1991

熱い砂-パリ~ダカールラリー11000キロ

●講談社文庫 1991

花の都パリからアフリカ大陸最西端のダカールまで、1万1000キロに及で世界一過酷といわれるクルマの大レース。その間に展開する参加者たちの闘い、行く先々の現地人たちの生活、美しくも厳しい大自然の姿など、プレスマンとして参加した作家の目をとおして、つぶさに描いた、清新なパリダカ体験記。