トマス・H・クック著作リスト

1980

Blood Innocents

鹿の死んだ夜 (文春文庫)

「鹿の死んだ夜」染田屋茂訳 文春文庫 1994
初老の殺人課刑事リアダンが指名を受けて担当することになったのは、動物園の鹿の惨殺事件。実業界の大立者が寄贈した鹿だけに、市警全体がピリピリする"取扱い注意"事件だ。穏便に一件落着としたい上層部の意向をよそに、刑事の直感は冴える、この事件は人間に及ぶ…と。クックの魅力が存分に発揮されたMWA賞候補の処女作。

1982

Orchids

1983

Tabernacle

神の街の殺人 (文春文庫)

「神の街の殺人」村松潔訳 文春文庫 2002
うらぶれたモーテルで黒人娼婦が絞殺される。敬虔なモルモン教の街ソルトレーク・シティにそぐわないこの事件は、教会幹部を襲う連続殺人事件への序章だった。ニューヨークから流れついた刑事トムは、一見平和な宗教都市の歴史的暗部に、事件解明の鍵をみつけるのだが…。後年のクック世界の萌芽が随所に感じられる初期作品。

1986

Elena

1988

Sacrificial Ground

だれも知らない女 (文春文庫)

「だれも知らない女」丸本聡明訳 文春文庫 1990
死体となっても、彼女はなおかつ美しかった。南部の都市アトランタ、空地の夏草のかげで発見された若い女性はだれなのか?なぜ殺されたのか?市警殺人課のフランク・クレモンズの心に、その女のことがこびりついて離れない。不思議なのは、これほど人目をひく美女なのに、だれも知らないことだ。興趣つきない犯罪都市小説。

1989

Streets of Fire

熱い街で死んだ少女 (文春文庫)

「熱い街で死んだ少女」田中靖訳 文春文庫 1992
1963年5月、アラバマ州バーミングハム。ただでさえ暑い町が、マーティン・ルーサー・キング師に率いられる公民権運動デモで煮えたぎっていた。デモの潮が引いたあとの公園に、黒人少女の死体が残されていた。捜査は白人、黒人双方の偏見と猜疑にはばまれて難航する。「だれも知らない女」「過去を失くした女」の著者による傑作。

Flesh And Blood

過去を失くした女 (文春文庫)

「過去を失くした女」染田屋茂訳 文春文庫 1991
前作「だれも知らない女」で被害者の姉カレンと恋仲になったフランク・クレモンズ警部補、アトランタ警察を辞め、カレンともどもニューヨークへ出て私立探偵となった。今回の依頼は、自宅で何者かに惨殺された老女の身寄りを探すこと。ひとりの人間の空白の部分を執拗な調査で埋めてゆくスリルがたまらない傑作私立探偵小説。

1991

The City When It Rains
Evidence of Blood

闇をつかむ男 (文春文庫)

「闇をつかむ男」佐藤和彦訳 文春文庫 1997
天才的記憶力を武器に次々と問題作を発表する犯罪ノンフィクション作家キンリーにもたらされたのは故郷の親友である保安官変死の報。遺体なき少女暴行殺人――遺された捜査の跡をたどる記憶の奥底に浮かんだのは、かつて2人が迷い込み、そして2度と近付かないと誓った山奥の谷間にひっそりと建つ蔓に絡まれた廃屋だった。

Night Secrets

夜 訪ねてきた女 (文春文庫)

「夜 訪ねてきた女」染田屋茂訳 文春文庫 1993
ジプシーの女が殺された。同居していた別のジプシー女が逮捕され、すぐに犯行を自白した。元アトランタ市警警部補のフランク・クレモンズは、いまはニューヨークで私立探偵業、昼間はある人妻を尾行する身だが、彼の情念は夜の事件へ、ジプシーの女へと、強く引かれてゆく。あの女は犯人じゃない――。直観がそう告げるのだ。

1993

Mortal Memory

死の記憶 (文春文庫)

「死の記憶」佐藤和彦訳 文春文庫 1999
時雨の降る午後、9歳のスティーヴは家族を失った。父が母と兄姉を射殺し、そのまま失踪したのだ。あれから35年、事件を顧みることはなかった。しかし、ひとりの女の出現から、薄膜を剥ぐように記憶が次々と甦ってくる。隠されていた記憶が物語る、幸せな家族が崩壊した真相の恐ろしさ。クックしか書きえない、追憶が招く悲劇。   

1995

Breakheart Hill

夏草の記憶 (文春文庫)

「夏草の記憶」芹沢恵訳 文春文庫 1999
名医として町の尊敬を集めるベンだが、今まで暗い記憶を胸に秘めてきた。それは30年前に起こったある痛ましい事件に関することだ。犠牲者となった美しい少女ケリーをもっとも身近に見てきたベンが、ほろ苦い初恋の回想と共にたどりついた事件の真相は、誰もが予想しえないものだった!ミステリの枠を超えて迫る犯罪小説の傑作。   

1996

The Chatham School Affair

緋色の記憶 (文春文庫)

「緋色の記憶」鴻巣友季子訳 文春文庫 1998
ある夏、コッド岬の小さな村のバス停に、緋色のブラウスを着たひとりの女性が降り立った――そこから悲劇は始まった。しい新任教師が同僚を愛してしまったことからやがて起こる"チャタム校事件"。老弁護士が幼き日々への懐旧をこめて回想する恐ろしい冬の真相とは?精緻な美しさで語られる1997年度MWA最優秀長編賞受賞作。   

1998

Instruments of Night

夜の記憶 (文春文庫)

「夜の記憶」村松潔訳 文春文庫 2000
ミステリー作家ポールは悲劇の人だった。少年の頃、事故で両親をなくし、その直後、目の前で姉を惨殺されたのだ。長じて彼は「恐怖」の描写を生業としたが、ある日、50年前の少女殺害事件の謎ときを依頼される。それを機に“身の毛もよだつ”シーンが、ポールを執拗に苛みはじめた―人間のもっとも暗い部分が美しく描かれる。   

2000

Places in the Dark

心の砕ける音 (文春文庫)

「心の砕ける音」村松潔訳 文春文庫 2001
ロマンチストの弟は「運命の女」がきっといると信じていた。リアリストの兄はそんな女がいるはずはないと思っていた。美しく謎めいた女が兄弟の住む小さな町に現れたとき、ふたりはたしかに「運命の女」にめぐりあったのだったが…。クックがミステリを超えて、またひとつ美しくも悲しい物語を紡ぎだした。

2002

Interrogation

闇に問いかける男 (文春文庫)

「闇に問いかける男」村松潔訳 文春文庫 2003


Taken

テイクン〈上〉 (竹書房文庫)

*ノヴェライゼーション
「テイクン」富永和子訳 竹書房文庫 2003
第二次世界大戦中の1944年、パイロットのラッセル・キーズ大尉とクルーたちは戦闘中に不思議な青い光に遭遇する。戦後、故郷に戻ったラッセルは悪夢や激しい頭痛に悩まされ、クルーたち9名のほとんどが謎の死を遂げたことを知る。一方、野心に燃えるオーエン・クロフォード大尉は、ロズウェルの砂漠に墜落した謎の物体の捜査を始める。そして、事件現場から遠からぬテキサス州では、孤独な主婦サリー・クラークがジョンと名乗る不思議な人物と出会う…。地球に来訪した未知の生命体と3家族が4世代に渡って織り成す、壮大なSF大河ドラマ。

2004

Into the Web

蜘蛛の巣のなかへ (文春文庫)

「蜘蛛の巣のなかへ」村松潔訳 文春文庫 2005
余命短い父を看取るため、二十数年ぶりに故郷の田舎町へ戻ってきたロイ。かつて弟が自殺した事件の真相を探るうち、一生を不機嫌に過した父の秘密を知ることになる。そして町を牛耳る保安官の不審な行動。蜘蛛の巣のような家族と地縁のしがらみに搦めとられるロイは、だが次第に復讐のターゲットを見出して行く。

Peril

孤独な鳥がうたうとき

「孤独な鳥がうたうとき」村松潔訳 文春文庫 2004
暗い過去を引きずって南部からニューヨークに逃げてきた38歳のセーラ。場末のクラブで歌手として働いていた9年前、トニーと知り合い結婚。しかし、義父のレオは、いっぱしのギャングのボス気取りで、なぜかやたらとセーラを支配したがる。トニーは妻を愛しながらも、父には歯向かえない。自由のない、いつも怖れてばかりの生活から勇気を振り絞って逃げ出す決心をするセーラ。それを追う義父の手下たちと、父親に見つかったらきっと殺されるに違いないと心配し、独自にセーラを探し出そうとするトニー。セーラに一目ぼれし、匿うジャズクラブのオーナー…。果たしてセーラは安穏を手に入れることができるのか。心に「重石」を抱えた登場人物たちの人生が微妙にクロスしながら、物語はクライマックスへと向かう。「記憶シリーズ」に代表される、従来の重く暗い作風から一転、本作品はヒロインと彼女をとりまく男たちの「大いなるハッピー・エンド」を追い求める。ロバート・アルトマン監督の映画のような群像ミステリ。

2005

Red Leaves

緋色の迷宮 (文春文庫)

「緋色の迷宮」村松潔訳 文春文庫 2006
近所に住む8歳の少女が失踪し、ひょっとすると自分の息子が誘拐しいたずらして殺したのかもしれないという不安。自分の兄もそういう性向を持ち、事件に関わっているかもしれないという疑念―自分をつくった家族と自分がつくった家族。確固たる存在だと信じていた二つの世界が徐々に崩れはじめるとき、どうすればいいのか。

2006

The Murmur of Stones

石のささやき (文春文庫)

「石のささやき」村松潔訳 文春文庫 2007
姉が壊れはじめたのは、幼い息子を亡くしてからだった。すべてが取り返しのつかない悲劇で幕を下ろしたあと、私は刑事を前に顛末を語りはじめる…。破滅の予兆をはらみながら静かに語られる一人の女性の悲劇。やがて明かされる衝撃の真相。人の心のもろさと悲しみを、名手が繊細に痛切に描き出した傑作。

2008

Master of the Delta

沼地の記憶 (文春文庫)

「沼地の記憶」村松潔訳 文春文庫 2010
教え子エディが悪名高き殺人犯の息子だと知ったとき、悲劇の種はまかれたのだ。若き高校教師だった私はエディとともに、問題の殺人を調査しはじめた。それが痛ましい悲劇をもたらすとは夢にも思わずに。名匠が送り出した犯罪文学の新たなる傑作。あまりに悲しく、読む者の心を震わせる。巻末にクックへのインタビューを収録。

2009

The Fate of Katherine Carr