「戦争と言葉」に関する本のリスト

1945


相賀
日米會話手帳 Anglo-Japanese conversation manual
誠文堂新光社 編
科學教材社 1945年10月 32p
誠文堂新光社〔復刻版〕 2021年11月1日 ¥550 税込
NDC: 837 言語>英語>読本. 解釈. 会話
『日米會話手帳』は、1945年9月15日刊行の戦後に企画された最初の出版物ともいわれ、しかも戦後最初のミリオンセラー商品です。誠文堂新光社の創業者である小川菊松は第二次世界大戦敗戦時の玉音放送を聞き、これからは米国人と会話を出来ねばならぬという発想から、1945年8月15日に『日米會話手帳』を企画、翌月の9月15日には刊行しました。その後、ほかの英会話等の書物が刊行されると、当商品の役目は終わったと、12月には絶版にしました。その間、わずか4か月弱で、360万部超の売行きとなりました。これは出版業界では空前絶後のことでした。これら刊行の経緯の詳細については、創業者の著した書籍より抜粋して掲載しています。
【関連本】
朝日新聞社『「日米会話手帳」はなぜ売れたか』朝日文庫 1995年9月

1965


永田
流れる星は生きている
藤原てい 著
偕成社 1965年6月1日
偕成社文庫 1976年3月1日
中公文庫 2002年7月25日
偕成社文庫〔新版〕 2015年7月23日 ¥880 税込
NDC: 369.37 社会科学>社会>社会福祉>戦災者・被災者・引揚者保護
1945年の敗戦とともに満州(現、中国東北部)から、日本まで、3人の子をかかえ、はるかな道のりをたどった、著者の魂の記録。 かつて100万人が体験した満州引き揚げをえがき、戦後の大ベストセラーとなった傑作ノンフィクション!

1966


永田
原爆体験記
広島原爆体験記刊行会 編
朝日新聞社 1966年
朝日選書 42 1975年7月10日 ¥1,320 税込
NDC: 915 文学>日本文学>日記. 書簡. 紀行
恐ろしくも痛ましい原爆体験の数々。昭和25年、広島市が被爆者たちから募集した体験記164編のうちの18編と、ぬきがき16項。当時小冊子にまとめ刊行の予定だったが、占領軍の配布禁止にあい、日の目を見なかった。

1968


下中
戦争中の暮しの記録
暮しの手帖編集部 編
暮しの手帖 第96号 1968年
暮しの手帖社 1969年8月15日 ¥2,420 税込
NDC: 915 文学>日本文学>日記. 書簡. 紀行
終戦から22年の歳月が経った1967年、『暮しの手帖』は、戦時下の「庶民の日常の記憶」を集めようと、「戦争中の暮しの記録」の投稿を呼びかけました。高度経済成長に沸く日本において、あの暗く、苦しく、みじめだった戦争の記憶は、もはや思い出したくない、忘れてしまいたい過去のことだったでしょう。ところが、総数1736編という驚くべき数の原稿が寄せられ、当時の編集長の花森安治と編集部員たちは、全身全霊を傾けてこの企画に取り組み、一冊に編み上げました。 市井の人々は、なにを考え、なにを食べ、なにを着て、どんなふうに暮らし、死んでいったか、生きのびたのか。半世紀の時を経て、あの「戦争」を今に伝える、不朽のロングセラーです。

1994


永田
アルザスの言語戦争
ウージェーヌ・フィリップス 著、宇京頼三 訳
白水社 1994年1月
白水社〔新装復刊〕 2010年5月1日 ¥4,620 税込
NDC: 802 言語>―>言語史・事情. 言語政策
ヨーロッパ文明の衝突地点、アルザスを舞台に繰り返された二大文化語、ドイツ語とフランス語の攻防とは? 民族の主体性と、自らの言語と文化を守るために苦闘を重ねてきたアルザス人の歴史。

塚本
水木しげるのラバウル戦記
水木しげる 著
筑摩書房 1994年7月1日
ちくま文庫 1997年7月23日 ¥1,100 税込
NDC: 916 文学>日本文学>記録. 手記. ルポルタージュ
太平洋戦争の激戦地ラバウル。水木二等兵は、その戦闘に一兵卒として送り込まれた。彼は上官に殴られ続ける日々を、それでも楽天的な気持ちで過ごしていた。ある日、部隊は敵の奇襲にあい全滅する。彼は、九死に一生をえるが、片腕を失ってしまう。この強烈な体験が鮮明な時期に描いた絵に、後に文章を添えて完成したのが、この戦記である。終戦直後、ラバウルの原住民と交流しながら、その地で描いた貴重なデッサン二十点もあわせて公開する。

2001


相賀
非戦
坂本龍一、sustainability for peace 著
幻冬舎 2001年12月20日 ¥1,650 税込
NDC: 319 社会科学>政治>外交. 国際問題
2001年、9月11日の米国での同時多発テロ事件。それによる米国の報復攻撃に対して坂本龍一を始めとする『非戦』編集チームが、戦争が答えではない。非戦=戦わないことによる平和な世界の実現について考える材料を提供する。大手メディアでは扱われにくいネット上の情報を中心に内外から50人以上の評考を集めた1冊。

2002


大野
戦争プロパガンダ10の法則
アンヌ・モレリ 著、永田千奈 訳
草思社 2002年3月
草思社文庫 2015年2月3日 ¥880 税込
NDC: 391 社会科学>国防. 軍事>戦争. 戦略. 戦術
第一次大戦からアフガン空爆まで、政府発表やメディアよって発表されたことばを軸にブリュッセル大学で教鞭をとる気鋭の歴史学者が戦争当事国による世論操作・正義捏造の過程を浮き彫りにする。

2003


相賀
メディア・コントロール:正義なき民主主義と国際社会
ノーム・チョムスキー 著、鈴木主税 訳
集英社新書 2003年4月17日 ¥836 税込
NDC: 361 社会科学>社会>社会学
米国の軍事行動を批判し続けてきた偉大な知識人・チョムスキーが、現代情報社会の最も重要な鍵であるメディアの虚実を暴く。国際情勢を読み解くために欠かせない一冊。更に辺見庸との対談も収録。

2004


ほしい
戦時中の話しことば:ラジオドラマ台本から
遠藤織枝ほか 著
ひつじ書房 2004年9月6日 ¥6,139 税込
NDC: 817 言語>日本語>読本. 解釈. 会話
話しことばの研究において、音声資料の希薄な前時代の台本は貴重な資料である。1936から1955年に、日本放送協会から放送された小林勝のラジオドラマ台本78本に基づく談話研究。テキストデータCD−ROM付。

2005


永田
メディアは戦争にどうかかわってきたか:日露戦争から対テロ戦争まで
木下和寛 著
朝日選書 2005年6月10日
報道の威力を軽視して、勝ったはずの日露戦争の講和交渉で大幅な譲歩を強いられ、湾岸戦争では巨額の拠出金を無視された情報後進国、日本。ラジオを駆使した第二次世界大戦の熾烈な宣伝戦。ベトナム戦争で苦汁をなめた米国が編み出した巧みなメディアコントロール……日露戦争から対テロ戦争まで、この100年間に起きたおもな戦争を網羅、国家とメディアの激しいせめぎあいを精緻な分析でスリリングに描く。

2007


永田
英語を禁止せよ:知られざる戦時下の日本とアメリカ
大石五雄 著
ごま書房 2007年5月 ¥1,540 税込
NDC: 830 言語>英語
太平洋戦争の戦時下において、日本では英語は禁止・追放されたが、アメリカでは多くの日本語専門の情報部員が育てられていた。敵国語の扱いをめぐっての日米の違いに注目してそれぞれの実態を述べ、相違の原因を考える。

相賀
言葉と戦争
藤井貞和 著
大月書店 2007年11月
編集室水平線〔増補新版〕 2023年11月 ¥2,860 税込
NDC: 914 文学>日本文学>評論. エッセイ. 随筆
戦争の起源と、それの現在と、今後のわれわれが何をしなければならないかという、日ごろだれもが知りたいと思い、なかなか解答を得られない内容について、言葉にたずさわる者としての責任の限りにおいて、著者は本書を著した。

2008


塚本
表参道が燃えた日:山の手大空襲の体験記
「表参道が燃えた日」編集委員会 2008年2月15日 ¥770 税込
NDC: 916 文学>日本文学>記録. 手記. ルポルタージュ
戦争とくらしの事典
ポプラ社 2008年4月1日 ¥5,225 税込
NDC: 210 歴史>日本史
戦時中のくらしぶりをいまに伝える事典です。豊富な写真と、赤紙、千人針、防空ごうなど、当時身近だったことばを50音順配列でくわしく解説しています。

下中
戦争は女の顔をしていない
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 著、三浦みどり 訳
群像社 2008年7月1日
岩波現代文庫 2016年2月17日 ¥1,540 税込
NDC: 986 文学>ロシア・ソビエト文学>記録. 手記. ルポルタージュ
ソ連では第二次世界大戦で100万人をこえる女性が従軍し、看護婦や軍医としてのみならず兵士として武器を手にして戦った。しかし戦後は世間から白い目で見られ、みずからの戦争体験をひた隠しにしなければならなかった――。500人以上の従軍女性から聞き取りをおこない戦争の真実を明らかにした、ノーベル文学賞作家の主著。
目でみる「戦争と平和」ことば事典(全3巻)
早乙女勝元 監修
日本図書センター 2008年11月1日 ¥16,500 税込
NDC: 319 社会科学>政治>外交. 国際問題
明治から2008年前半までの、世界と日本の主な戦争と平和に関する用語を50音順にまとめたビジュアルことば事典。第二次世界大戦までの事項を中心に、9.11テロ事件など最近の事項まで約550項目を採録。教科書に出てくる戦争・事件名や人名をはじめ、戦時中のくらしや平和活動に関する用語も積極的に紹介。様々な“ことば”を通して戦争と平和の歴史を学ぶ、社会科・平和学習に最適の図書!

2010


ほしい
言語戦争と言語政策
ルイ=ジャン・カルヴェ 著、砂野幸稔ほか 訳
三元社 2010年4月30日 ¥3,850 税込
NDC: 801 言語>―>言語学
欧米型「多言語主義」があたかもアプリオリに肯定的な価値として称揚される現在、言語について語ることの政治性と世界の多言語性が孕む緊張を鋭く描き出し、そうした自明性そのものに、あらたな問い直しをせまる社会言語学の「古典」。

2012


ほしい
昭和が生んだ日本語:戦前戦中の庶民のことば
遠藤織枝 著
大修館書店 2012年6月15日 ¥1,650 税込
NDC: 810 言語>日本語
男も指した「大和なでしこ」、目上にも言えた「あなた」という呼称、戦時中も意外と使 われたカタカナ語、独特の皇室敬語、文字ばかりの説教調広告に美辞麗句あふれる記事…。 当時の新聞雑誌・ラジオドラマから、今につながることば、消えてしまったことばを読む。 遠ざかりゆく昭和の初期、戦前戦中という時代における日本語の物語。

2013

ボスニア紛争報道:メディアの表象と翻訳行為
坪井睦子 著
みすず書房 2013年3月23日 ¥7,150 税込
NDC: 070 総記>ジャーナリズム. 新聞
紛争とメディアが大きく関わった事例としてボスニア紛争を取り上げ、欧米主要メディアによる解釈が、唯一の「事実」として世界に伝えられる過程を詳細に分析。報道の陥穽を翻訳の視点から浮き彫りにする。

相賀
若者を戦争に送る言葉:出征兵士への送辞から戦死者への弔辞まであいさつ例66
日本を知る会編
データハウス 2013年11月23日 ¥1,650 税込
NDC: 393 社会科学>国防. 軍事>国防政策・行政・法令
かつて日本では、どのような言葉をもって家族や友人、同僚を戦場へと送ったか、帰ってきた彼らをどう迎えたか。式辞や送辞、祝辞の挨拶や、戦死した場合の弔辞の例を掲載。戦争中の家庭生活、軍内の規律がわかる資料も収録。

2014


永田
戦争と演説:歴史をつくった指導者たちの言葉
ジェイコブ・F.フィールド 著、阿部寿美代、平澤亨 訳
原書房 2014年2月21日 ¥2,420 税込
NDC: 209 歴史>―>世界史. 文化史
アレクサンドロス大王、エリザベス一世、ルーズヴェルト…。歴史をつくった指導者たちは、戦いの岐路に、人びとに何を訴えたのか。それぞれの演説の背景とその後の歴史とともに、41人の「言葉の力」を紹介する。

2015


松本
英語教科書は〈戦争〉をどう教えてきたか
江利川春雄 著
研究社 2015年7月17日 ¥2,420 税込
NDC: 375 社会科学>教育>教育課程. 学習指導. 教科別教育
幕末から始まった日本人の英語教育は常に国策とからむことになり、英語と<戦争>とは切り離すことができない。学校教育において、英語教科書は戦争やそれに関わるものをどのように扱ってきたのかを、当時実際に生徒たちが使用していた教科書の教材内容を分析することによって、明らかにする。貴重な図版を多数掲載。戦後70年の節目の年に、あらためて<戦争>と日本人の外国語(英語)教育との関わりを振り返る。

塚本
敗戦と占領:ひとびとの精神史(第1巻)1940年代
栗原彬、吉見俊哉 編
岩波書店 2015年7月25日 ¥2,530 税込
NDC: 281 歴史>伝記>日本
8月15日という大転換を経て、何が変わり、何が変わらなかったのか。北と南の戦場、沖縄、広島、植民地朝鮮、そして本土で、ひとびとは何を経験したのか。社会の変化にどう向き合おうとしたのか。12の物語が、「あなたはどのように生きるか」という問いを私たちに突きつける。時代の転換期におくるシリーズ、刊行開始。本巻で取り上げる人物…大田昌秀、水木しげる、大田洋子、黒澤明、花森安治、堀越二郎、北村サヨ、茨木のり子、若月俊一、中野重治ほか。

塚本
朝鮮の戦争:ひとびとの精神史(第2巻)1950年代
テッサ・モーリス‐スズキ 編
岩波書店 2015年8月26日 ¥2,530 税込
NDC: 281 歴史>伝記>日本
主権回復を実現して冷戦体制の一翼を担い、豊かさに向け助走する「戦後」日本。朝鮮戦争の兵站列島としての具体相を、戦犯や戦時のスパイ活動容疑者、在日朝鮮人作家、沖縄の反戦地主、広島の被爆者、シベリア抑留を生き抜いた詩人らの生き様から描く。山田善二郎、金達寿、阿波根昌鴻、丸木位里と丸木俊、石原吉郎、力道山ほか。

相賀
たのしいプロパガンダ
辻田真佐憲 著
イースト新書Q 2015年9月10日 ¥880 税込
NDC: 361 社会科学>社会>社会学
戦中につくられた戦意高揚のための勇ましい軍歌や映画は枚挙に暇ない。しかし、最も効果的なプロパガンダは、官製の押しつけではない、大衆がこぞって消費したくなる「娯楽」にこそあった。本書ではそれらを「楽しいプロパガンダ」と位置づけ、大日本帝国、ナチ・ドイツ、ソ連、中国、北朝鮮、イスラム国などの豊富な事例とともに検証する。さらに現代日本における「右傾エンタメ」「政策芸術」にも言及。画期的なプロパガンダ研究。

2016


相賀
「日本スゴイ」のディストピア:戦時下自画自賛の系譜
早川タダノリ 著
青弓社 2016年6月30日 ¥1,980 税込
朝日文庫 2019年3月7日 ¥814 税込
NDC: 210 歴史>日本史
1931年の満州事変後に、大洪水を起こした「日本スゴイ本」。「魚を食うから強い」「腰が世界一強い」「服従は美徳である」「報酬を求めるのは日本固有の精神ではない」「日本は世界の中心である」……。現代も氾濫する「日本スゴイ」言説。そのご先祖様とも言える、戦前戦中の書物から見えてくる世界とは。日本って何がそんなに「スゴイ」の?

2017


相賀・永田
「戦争」と「平和」をあらわす世界の言葉
稲葉茂勝ほか 著
今人舎 2017年9月2日 ¥1,980 税込
NDC: 319 社会科学>政治>外交. 国際問題
「戦争」と「平和」を表す世界の言葉を、文字と言語における言葉の意味を紹介。世界各国の文字を見て、意味を知り、「戦争」と「平和」を考えてみましょう! 各国情報もあるので国際理解にも役立つ。

2018

戦中・戦後の暮しの記録:君と、これから生まれてくる君へ
暮しの手帖編集部 編
暮しの手帖社 2018年7月25日 ¥2,750 税込
NDC: 916 文学>日本文学>記録. 手記. ルポルタージュ
『暮しの手帖』創刊70周年記念出版 あの日々をどう生きたか。手記、手紙、絵、写真――157の体験 これが戦争なのだ。 『戦争中の暮しの記録』(1969年刊)から約50年――。 ふたたび『暮しの手帖』は、戦争体験の手記を募りました。 今回は、戦時中の記録に加え、戦後の混乱期のできごと、そして戦後生まれの方には、体験者からの「聞き書き」での投稿も呼びかけました。この募集に応じて届けられた2390通の応募作品から、157点を選び、まとめたのがこの一冊です。本書は、庶民の戦中・戦後の暮らしがわかる貴重な記録であり、あの戦争を生き抜いた方々からの、いのちのメッセージ集です。

2019


相賀
戦前不敬発言大全
髙井ホアン 著
パブリブ 2019年5月24日 ¥2,750 税込
NDC: 326 社会科学>法律>刑法・刑事法
落書き・ビラ・投書・怪文書で見る反天皇制・反皇室・反ヒロヒト的言説 (戦前ホンネ発言大全)

相賀
戦前反戦発言大全
髙井ホアン 著
パブリブ 2019年5月24日 ¥2,750 税込
NDC: 319 社会科学>政治>外交. 国際問題
落書き・ビラ・投書・怪文書で見る反軍・反帝・反資本主義的言説(戦前ホンネ発言大全)
なぜならそれは言葉にできるから:証言することと正義について
カロリン・エムケ 著、浅井晶子 訳
みすず書房 2019年10月17日 ¥3,960 税込
NDC: 326 社会科学>法律>刑法・刑事法
著者エムケは戦地を取材し、さまざまな人と出会う。そこから、「語ること」「聞くこと」「聞いたことを伝えること」について考えていく。語ることを強いるのではなく、言葉にできないとするのでもなく、「それでもなお語る」ことを探ること。口ごもりながら、断片的に語るとき、そこには空白があり、謎があるかもしれない。だからこそ「それ」は言葉にできる。語りの首尾一貫性ではなく、聞く人が「それ」を聞けるかが、世界への信頼を取り戻す鍵となる。出会った人々の言葉とともに、旅するエムケの生活や思い出が、普遍的な考察へとつながっていく。温かく、深みのあるエッセイ。

2021


永田
戦争というもの
半藤一利 著
PHP研究所 2021年5月13日 ¥1,430 税込
NDC: 210 歴史>日本史
本書では、太平洋戦争下で発せられた軍人たちの言葉や、流行したスローガンなど、あの戦争を理解する上で欠かせない「名言」の意味とその背景を、著者ならではの平易な文体で解説する。開戦から80年の節目の年に、「戦争とはどのようなものか」を浮き彫りにした、後世に語り継ぎたい珠玉の一冊。

ほしい
言論統制というビジネス:新聞社史から消された「戦争」
里見脩 著
新潮選書 2021年8月 ¥1,705 税込
NDC: 070 総記>ジャーナリズム. 新聞
「権力とメディアの癒着」――その原点は戦時統制にあり! 「軍部の弾圧でペンを折らざるを得なかった」は虚構だった。「報道報国」の名の下、部数を貪欲に追い求めた新聞社は、当局に迎合するだけの記者クラブを作り、唯一の統制機関「内閣情報局」に幹部を送り込んだ。そして、ライバル紙を蹴落とすために地方紙大合併を仕掛け……。戦争を利用し尽くしたメディア暗黒史。

相賀
地べたの戦争:記者に託された体験者の言葉
「言葉を刻む」取材班 著
西日本新聞社 2021年8月20日 ¥1,540 税込
NDC: 916 文学>日本文学>記録. 手記. ルポルタージュ
生活の隅々まで戦争があった−。戦争体験者の生々しい言葉を、記者達が記事や取材ノートから掘り起こして伝える。『西日本新聞』連載等をもとに単行本化。『西日本新聞』の特派員だった漫画家長谷川町子の軍需工場ルポも掲載。

2022

戦時下の少年読物:資料数百点が語る真実
青木正美 著
日本古書通信社 2022年2月25日 ¥1,980 税込
NDC: 019 総記>図書館. 図書館情報学>読書. 読書法
古本屋である著者が、商品として扱ってきたもの、多くの少年達の手を経てきたゆえに汚れたり壊れて商品とならず今も著者の手元にある、戦時中の少年読物や少年達の戦意高揚に使用された資料、当時の雑誌編集部へ届いた愛読者の手紙など、図書館や資料館にも所蔵されていない貴重な秘蔵資料を、当時の思い出とともに紹介する。

塚本
戦争とデザイン
松田行正 著
左右社 2022年7月30日 ¥1,540 税込
NDC: 757 芸術. 美術>工芸>デザイン. 装飾美術
色、ことば、しるし、企み。人間を翻弄し戦争へと駆り立てる一方で、その悪の道を食い止める正義にもなりうる「デザイン」。紀元前から近代、第一次世界大戦、ヒトラーをはじめとする独裁者たち、そして、今まさに起こっているプーチンのウクライナ侵攻まで、「戦争のデザイン」に焦点を当てた類のない一冊!

相賀
そこから青い闇がささやき:ベオグラード、戦争と言葉
「言葉を刻む」取材班 著
河出書房新社 2003年7月24日
ちくま文庫 2022年8月10日 ¥880 税込
NDC: 914 文学>日本文学>評論. エッセイ. 随筆
最初は死者が名前で知らされる。それから数になる。最後には数もわからなくなる…。旧ユーゴスラビア、ベオグラード。戦争がはじまるも、日本への帰国を拒み空爆下の街に留まった詩人が、戦火の中の暮らし、文学、希望を綴る。〔河出書房新社 2003年刊の加筆修正〕

下中
記憶する戦争
東谷仁 著
遊行社 2022年10月12日 ¥1,980 税込
NDC: 916 文学>日本文学>記録. 手記. ルポルタージュ
いち青年が戦争で辿らなければならなかった足跡を記録したノンフィクション。アジア太平洋戦争は、国家、個人にとって何だったのか。
文学ムック ことばと vol.6:特集 ことばと戦争
書肆侃侃房 2022年10月31日 ¥1,870 税込
「ことばと戦争」を特集し、高橋源一郎のインタビュー、早助よう子の小説、水上文の評論、ロシア語で詩を書く人たちの詩などを収録する。第4回ことばと新人賞の受賞作・佳作、仙田学の創作等も掲載。

2023

戦争と文学の交渉:古代から近現代へ
増田周子 編著
関西大学東西学術研究所研究叢刊(68) 2023年4月10日 ¥5,170 税込
NDC: 902 文学>―>文学史. 文学思想史
2022年3月に開催された国際シンポジウム論集。終戦から77年、そしてロシアによるウクライナ侵攻に直面する今日、古代から近現代までの戦争を巡る文学を取り上げ、その意義を読み解く。壬申の乱から戦後日本まで、戦争の悲惨さや苦悩、そして人間愛を描いた数々の作品は、我々に何を問いかけるのか。
シェイクスピアの戦争:虚構と現実の格闘のなかで
小野俊太郎 著
小鳥遊書房 2023年5月
NDC: 932 文学>英米文学>戯曲
シェイクスピアは戦争劇作家だった! 出陣する君主、戦場の王侯貴族たち、動員された兵士たち、涙する女性、戦う女性、犠牲となる子ども、敗者としての亡霊たち……。 あらゆる作品を覆っている「戦争」を直視せずにシェイクスピア劇を心底からは理解できない。 『ハムレット』への北海帝国の影響を問い、マクベスやリチャード三世像を見直す。
戦争と学院:戦時下を生き抜いた福岡のキリスト教主義学校
下園知弥、山本恵梨 編
西南学院大学博物館 2023年6月3日 ¥1,100 税込
NDC: 372 社会科学>教育>教育史・事情
アジア・太平洋戦争期の日本では、キリスト教主義を掲げた学校は「敵性語」や「敵の文化」を積極的に取り入れていると批判を浴びた。全国のキリスト教主義学校は、国に協力姿勢を示しつつ、学校の形態や授業内容、行事名を変えるなど、さまざまな工夫で学校存続を試みた。福岡県の三つのキリスト教主義学校(福岡女学院、西南女学院、西南学院)に注目し、各学院で当時使われていた制服や教科書、当時の古い写真などを通して、戦前から戦時下にかけての学生生活と教育の変化について紹介する。
通訳者と戦争犯罪
武田珂代子 著
みすず書房 2023年6月20日 ¥4,950 税込
NDC: 329 社会科学>法律>国際法
自らの伝えた言葉によって他者が拷問や虐待にさらされる時、通訳者は中立性を保てるのか? 太平洋戦争後の対日戦犯裁判やイラク、アフガンなどの事例から、戦争・紛争下の通訳者が直面するリスクと倫理的選択について論じる。

相賀
戦争語彙集
オスタップ・スリヴィンスキー 作、ロバート キャンベル 訳著
岩波書店 2023年12月26日 ¥2,200 税込
NDC: 989 文学>ロシア・ソビエト文学>その他のスラブ文学
「わたしの家も、この街も、置いていけばゴミになるの?」 「ゴミ」「星」「林檎」……戦争の体験は一人ひとりが言葉に抱く意味を変えてしまった。ウクライナを代表する詩人が避難者の証言を聴き取り、77の単語と物語で構成した文芸ドキュメント。ロバート キャンベルが現地を訪ねた記録とともに自ら翻訳して紹介する。

2024


相賀
鬼畜米英漫画全集
髙井ホアン 著
パブリブ 2024年2月15日 ¥3,190 税込
NDC: 210 歴史>日本史
戦時下の反アメリカ・イギリス的表象
与謝野晶子の戦争と平和:戦乱期中国へのまなざし
張競 著
東京大学出版会 2024年5月1日 ¥4,290 税込
NDC: 911 文学>日本文学>詩歌
明治、大正、昭和という激動の時代を生き抜いた文学者が、満蒙旅行を経験することでいかなる中国とのかかわりが生まれたのか。数多くの文化人が訪れ、表象された「満蒙」と向きあい、歌人として、評論家として自らの言葉を発信しつづけた与謝野晶子と日中戦争をめぐる時代像を描きだす。

ほしい
出版帝国の戦争:不逞なものたちの文化史
高榮蘭 著
法政大学出版局 2024年5月24日 ¥3,520 税込
NDC: 023 総記>図書. 書誌学>出版
帝国日本の出版市場は合法/非合法を問わず、植民地の人々を積極的に読者として包摂しようとした。朝鮮人にとって日本語は抑圧する言語であり、抵抗の思想を学ぶための言語であり、娯楽のための言語でもあった。『戦旗』や『キング』、マルクスやレーニン、金子文子や火野葦平、林芙美子らの思考や文学が、発禁本とともに帝国の支配圏でいかなる思想や文化を醸成したのか、多彩な作品から読み解く。